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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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ちょっと高すぎたのではないか

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ちょっと高すぎたのではないか



 先週の日曜日、以前勤めていた某医大の同窓会があった。
勤務したのは二年ぐらいだったが、若いころだったので、たくさんの思い出がある。

 案内状は会の三カ月ぐらい前に届いた。場所は都内の一流ホテル。
会費のところでドキリとした。
「二万円」と書いてあった。
いまどき、この金額は相当のものである。特に私にとっては相当のものだ。
〈どうしようか?〉
出席したい気持ちはあるが、二万円は大きい。
さんざん迷って二日ぐらいよく寝られなかったが、今後いろいろ世話になるだろうから、顔だけは出しておこう、と一大決心をして、出席の返事をした。

 会場前のロビーには大勢の人がいた。
見知った顔も幾人かいる。
私は二万円の入った財布を腰ポケットに手を当てて確認すると、受付に行った。
受付のテーブルにはすでに、私の名前が印刷された名札が並べられていた。
「ヤブ田ですが・・・」
受付の若い女性はすぐに私の名札をくれた。
そして、名簿の「ヤブ田」を赤ペンでチェックすると、手を出した。
〈そうか、ここで先に払うのか〉(当たり前らしいが・・・)
私は用意してあった二万円を財布からだして女性に渡した。
二万円に別れを告げたのである。