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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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故郷へ帰った (二)

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「検食簿」を見ると、今月はすでに5人の「夜間院長」が検食している。
以前より増えているようだ。(皆、生活が大変になってきたのだろうか)
しかも、今月最初に「検食」したのは、本当の院長だった。院長もなかなか大変なのかもしれない。
しかし、おそらく、私のまじめな態度に感化されて、「検食」するようになったのだろう。院長だけあって、良いことはすぐに真似する。

 今日のメニューは洒落ていた。
「ビーフストロガノフ」だ。ロシア料理である。
日本語では牛肉煮込みとでもいうのか。
それと、「マカロニサラダ」「ふりかけ」である。
患者さんの食事としては、いいほうだろう。

 「マカロニサラダ」と「ふりかけ」については特にコメントする必要はない。
私が注目したのは、「ビーフストロガノフ」だ。

 だいぶ前、食品の偽装表示が問題になった。
「ミートホープ事件」が毎日のようにテレビで放映されたころである。
今更まさかとは思ったが、用心深い私は、もしかすると、ビーフとはいっているが、ブタかもしれない、羊ではないか、あるいはネコだったらどうしようと神経を尖らせた。
目を閉じて味わったが、100パーセント牛肉と断定できなかった。
DNA検査が必要だと思ったが、検査の前に全部食べてしまったため、材料がなくなったのは残念だった。