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信じられない男

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いつからだろう、他人を信じられなくなったのは。
単純に、出会いの運が悪かったんだと思う。
何度も、僕は信じた人に裏切られた。
今度は大丈夫。
そう自分に言い聞かせて、人をもう一度信じてみようと思った。
でも、その度にやっぱり僕は裏切られる。
何度目からだろう。
もう一度、他人を信じてみようと思えなくなったのは。
もう、それすらもわからない。

例えば、親友だと思っていた友人に裏切られた。
二人で悪ふざけをしていて、学校の窓を割ってしまった。
その時は誰にも見られていなかった。
二人だけの秘密だと言って逃げ帰った。
次の日、僕は担任に呼び出された。
親友は来なかった。僕だけが呼び出された。
反省文を書かされ、解放された僕は親友の元へ行き、その旨を伝えた。
親友は少し気まずそうな顔で僕の話を聞いていたが、僕が話し終わると「そうか」とだけ言った。
他のクラスメイトが教えてくれた。
担任に告げ口したのは親友だった。

例えば、真剣に好きになった女性に裏切られた。
おとなしい、物静かな人だった。
恥じらいの表情で告白してきた彼女のことを、僕はすぐに好きになった。
三回目のデートの日。
彼女は、それが罰ゲームであったこと、女生徒のリーダー的存在のあの子の命令で逆らえなかったことを泣きながら話した。
僕はその話にショックを受けたが、彼女のことを本当に好きになっていた。
だから、始まりはどうであれ、もう少し続けてみないかと、勇気を出して提案した。
それでも、彼女は涙をながして、ごめんなさいと言った。
それだけだったならば、僕は彼女を許しただろう。
次の日、登校した僕を待っていたのは、クラス中の女子からの冷たい視線だった。
まるで嘲笑うかのような、馬鹿にしたような視線。
小声で話す声が聞こえた。
「何本気になってんの、あいつ」
それを言ったのは、彼女だった。

似たようなことが、数え切れないほどあった。
多分僕は、お人よしでからかいやすい人間なのだろう。
何度も何度も、信じては裏切られた。
いつからか、人を信じることを忘れてしまった。

それからは、他人と距離を置いて生きてきた。
大学では、ついに一人の友達を作ることもなく卒業した。
中学、高校の同窓会にも呼ばれたことがない。
作品名:信じられない男 作家名:@龍太郎