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と見るのが妥当だろう。しかしこの〈点〉については、『闇に消えた怪人』の本にも、
 
画像:闇に消えた怪人92-93ページ暗黙の脅し
画像:闇に消えた怪人表紙
 
こう書いているところがある。
《私はそこに、21面相の「わしらは江崎グリコのすべてを知り尽くしているぞ」という“暗黙の脅し”があったように思えてならない》
だってよ。バカか。《旅のお供にグリコのポッキー》と書いたらそれが“暗黙の脅し”で、〈彼ら〉は江崎グリコのすべてを知り尽くしていることにされる。
 
江崎利一が生前に途轍もなく悪いことをやった証拠にされてしまう。「チューリヒ、ロンドン、パリ」と〈彼ら〉が書いたというだけのことが、ヨーロッパに繋がりがあるということにされてしまう。
 
わかるだろうか。これが〈陰謀論者〉である。点と点があればすぐさま、
「何か繋がりがあるんちゃうかな」
と言い出す。安彦良和が作画したセイラさんの胸を見ても、
「この点と点には何か繋がりがあるんちゃうかな」
と言い出す。ねえよ。無理に繋げんなよ。犯人が長女の名前がM子と知ってたと聞いたらもう、
「繋がりが」
トレンチコートが戦前のものと聞いたら、
「繋がりが」
最初の最初に「金はいらん」と言ったと聞いたら、
「繋がりが」
とにかくなんでもかんでもみんな、繋がりがあることにしたい。この事件は、
 
【日本を恐怖のズンドコに突き落とそうともくろんだ何者かの陰謀だった】
 
ことにしたい。グリコに対する怨恨であり、内部の者の犯行であり、菓子には実際に毒が入れられ、全国に大量にバラ撒かれたのだということにしたい。警察にも仲間がいたし、背後に巨大な組織がいたから可能だったということにしたい。
 
そしてもちろん、株価操作でも〈彼ら〉は稼いでいたことにしたい。それも何十億となくだ。このマンガの2巻目には、わずかな試し読みぺージの中でさっき見せたすぐ後に、
 
画像:罪の声マンガ版2株価操作
アフェリエイト:罪の声昭和最大の未解決事件2
 
こんなこと書かれている。株価操作説については『闇に消えた怪人』には、
 
画像:闇に消えた怪人136-137ページ株価操作説
画像:闇に消えた怪人表紙
 
このような章があり、この後9ページにも渡って長々と解説される。『真犯人』の本もまた、
 
画像:真犯人226-227ページ株価操作説
アフェリエイト:森下香枝真犯人
 
この説を本命とし、警察の捜査は失敗に終わっているが、自分が〈真犯人〉とする男が実行犯の中にいたなら可能だったに違いないとの論を展開する。かつての捜査幹部を訪ねて、
「K元組長グループの中に真犯人がいると今でも思っていますか?」
「それはちょっと答えられませんなー」
「実行役とされた滋賀のELグループはK元組長と最終的につながらなかった訳ですよね? 実行役のメンバーが違えば、捜査はどうなったのでしょう」
「今頃、そんな話がどこからか、出とるんですか?」
と話す部分がある。《今頃、そんな話がどこからか、出とる》んじゃなく、この森下香枝というのがひとりで点と点を繋いだ星座を空に描いてるのだが、電子書籍版で試し読みができる次の、
 
画像:真犯人試し読みページ
アフェリエイト:森下香枝真犯人
 
赤で囲ったところにある〈金翼哲(仮名)〉というのがその〈真犯人〉とする者だ。試し読みができるんだから試し読みで確かめてほしいが、買って続きを読んでからおれに、
「カネ返せ」
とは言わないようにね。別に買うように勧めてないから。おれは図書館で借りたから時間しか無駄にしていないけど、試し読みを読めばわかるがこの本の著者が〈鉄ちゃんこと金翼哲〉を真犯人とするのは、首を吊って死んでるというこの人物が生前に、友人の前田浩二(仮名)なる男に、
《ハッキリとは言わず、ほのめかすような感じで》
グリ森事件犯人一味のひとりだったと語っていたという、ただそれだけ。〈キツネ目の男〉に似てるわけでもないようだから〈キツネ目の男〉というわけでもない。
 
   「そんなやつ、他にいくらでもいるだろう」
 
と、おれは思うしあなたにもそう思ってほしいのだけど、この著者は、
 
   「〈ミイラ男〉は他にもそんな!」
 
と叫んでしまう。〈ミイラ男〉とは何か? って、詳しくは試し読みで読めるんだから試し読みで読め。前田浩二という人物はさらに、
 
画像:真犯人290-291ページ金翼哲
アフェリエイト:森下香枝真犯人
 
こう語る。鉄ちゃんこと金翼哲は〈真犯人〉なんて言っても主犯格でなく、「7人組だろう」とされる実行グループのひとりである。〈キツネ目の男〉は鉄ちゃんの親族で同じく在日朝鮮人ということになり、さらに背後に巨大な組織があったということになるが、ここで『罪の声』マンガ版の3巻を見ると、
 
画像:罪の声マンガ版3巻1ページ目
アフェリエイト:罪の声昭和最大の未解決事件3
 
1ページ目がこうだ。警察にできなかった犯行グループの特定をこのマンガの主人公は三十何年も経った後にひとりで成し遂げたことになってるらしい。そして〈キツネ目の男〉に次ぐ者らしき男の名が金田哲司!
 
この名前を見た瞬間に、
 
   画像:森下香枝真犯人表紙
 
   「これ、この本をネタにしてるな」
 
とおれは思ったがいかがだろうか。金田哲司、金翼哲。2007年、事件から二十何年も経ったところで突然出てきたその名前。
「今頃、そんな話がどこからか、出とるんですか?」
と言われたように警察すらも知らなくて、そしてその名も『真犯人』の著者が付けた仮名である。なぜ誰も知らなかったと言えばその年になって突然に前田浩二という人物が言い出したからだ。

「俺はグリ森犯のひとりだ」
と他人にほのめかして言う人間はいくらでもいる。ほのめかしなら何を言ってもボロは出ない。出そうになったら、
「あかん。これ以上は言えん」
と言えばそれでいいのだ。そういうやつのひとりと見るのがまずは妥当な金翼哲。
 
金翼哲、金田哲司。『罪の声』の原作者がこの本を読んでないというのはとても受け入れられない。ネタにしてると見るのが妥当だ。
 
としたら、読まずにあえて言うが、
 
画像:トニーたけざきのガンダム漫画ギレン アフェリエイト:トニーたけざきのガンダム漫画
 
『真犯人』がカスなんだから『罪の声』ってのもカスだろう、という予想を立てたところで、その小説の試し読みをダウンロードすることにした。すると、
 
画像:罪の声試し読み
アフェリエイト:罪の声
 
あらら。赤で囲んだところ、
《悲鳴を上げた長女の美佐子に対し、犯人の一人が「美佐子ちゃん、静かに」と名前を呼んだ》
と書いて〈美佐子〉に傍点振ってやがるよ。ほーらほらほらもうこの時点でカス確定。
 
もうこの時点で長女の名前を知っているから怨恨でありグリコ、じゃねえ、ギンガか、ギンガの内部犯行であり、警察にも仲間がいて、株価操作でも儲けていてヨーロッパに繋がりがあるということにしてるのがわかる。背後にたとえば、
 
画像:岡田斗司夫世界征服は可能か52-53ページ
画像:岡田斗司夫世界征服は可能か表紙
 
作品名:端数報告5 作家名:島田信之