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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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六人の住人【完結】

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22話「浸食、統合」






お久しぶりです。時子(五樹)です。

今晩、私(俺)は、二度目の統合がされ(まし)た。

今現在の私(俺)は、二重に意識を持っているかのように、とても不安定な状態です(だ)。

だから、ひとまずは「時子」の目線になるように努めて、この夜に何が起きたのかを、書き記します。




近ごろ私と五樹は、ツイッターアカウントを使って、交互にメッセージを送り合っていました。


私は、「五樹」という、理性的過ぎて冷徹とも言える存在に、怯えながら。

「五樹」は、私のその怯えを気遣って、なんとかなだめながら。


「五樹」はよく食べ、よく眠り、様々に思考を組み立てます。

私は少しの食事にすぐに飽きて、あまり眠らず、酷く落ち込む時が多いです。


そんな私たちの意見はいつも食い違い、どちらもが「自分の意見こそ「時子」自身の物として採用されて欲しい」と思うからこそ、その会話は、些細な言い合いのような風でした。

私は五樹を「食べ過ぎるな」ときつく咎め、五樹は「食べる量が少なすぎる」と忠告します。

そんなやり取りを、今日も18時に起きてから何度か繰り返し、私「時子」は、22時頃に散歩に出かけました。


1時間して帰宅し、シャワーを浴びた私は、スマートフォンで、自分が書いた小説の誤字が無いかを探していました。

でも、おそらく1時間も歩き疲れた私には、その作業は辛いものだったでしょう。すぐに五樹に交代します。

その後、二度交代を繰り返すまでに、五樹が昼食を食べ、私は目覚めました。


小説の編集にもう一度取り掛かろうとしてまた眠気を感じた時、「これが交代の引き金だったんだ」と私は気づき、そして、「もう嫌だな」と感じました。


“五樹さんに代わってもらって行動すると、私にはその記憶は残らないけど、五樹さんは冷静な人で、人生が苦しくなんかないみたい”

“それがもし私だって言うなら、もう離れていたくないな…”


私「時子」がそう考えてから、すぐに「五樹」に交代しましたが、五樹は「意識が侵食されている」と訴え、また眠りに就きます。

もう一度私が目覚めた時には、私も混乱の中にありました。


“あれ?私…誰なんだっけ?五樹?それとも時子?どっちかな?わからない…”


私は、自分が五樹と統合されかかっている事に気づき、前にそれが失敗したのを思い出していました。


“一度統合した事はあるけど、その時は上手くいかなかった。私が上手くやれなかった”

“五樹の感覚を得れば楽になる事は分かるけど、多分、今の私じゃ、出来ない…”


私「時子」は、この小説に久しぶりに手を付けましたが、今でもまだ、自分が誰なのかは即答出来ない状態です。


もし上手くいったら、私「時子」の日常は今までより大幅に楽になるでしょうが、「苦しくなった時には別人格に行為を代わってもらえる」という環境はなくなります。

統合されれば苦痛が減るのだから、代わってもらう必要そのものが生じないかもしれないし、もしかしたら話はそんなに上手くはいかないかもしれない。私にはまだ、どちらになるかが分かりません。

だから、次にお目にかかる時には、また「五樹」に戻っているかもしれません。



いつもお読み頂きます方へ、あまりエンディングをお待たせする訳にはいかないのですが、カウンセリングもかなり長引くようですし、のんびりとお待ち頂きますよう、お願い申し上げます。




作品名:六人の住人【完結】 作家名:桐生甘太郎