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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第37話 課された義務






警報が鳴り響く中、捜査員達の持つ通信端末に一斉に着信音が鳴った。シルバの前には仮想ウィンドウが小さく表示される。私はお嬢様を脱出させようと、お嬢様の荷物を集めるよう、マリセルに頼んだ。

アームストロング氏は、ちらとだけ画面を見ると、端末をしまう。メルバは目を閉じて数秒、恐らく自分に来た指令を読んでから、もう一度開けた。シルバはウィンドウを一度タップして消す。銭形氏は、端末を眺めたまま、こう言った。

「我々捜査員は、この事件の捜査は終了だな」

アームストロング氏がこう返す。

「ああ。ターカスも見つかり、エリックは破壊済みだ。マルメラードフは後に裁かれるが、我々は、上への報告だけでいいだろう。彼のした事は、国際的な犯罪に当たる。全員、招集の通信だな?」

その場に居たロボット達は、全員黙って頷いた。アームストロング氏がこちらに振り返り、歩み寄ってくる。

「アームストロングさん…」

お嬢様は心細そうだった。アームストロング氏はきちんと会釈をし、お嬢様の手を取る。

「どうかご無事で。我々は呼ばれた場所へ行かなければいけません」

お嬢様は、何も言わなかった。メルバもシルバも、アームストロング氏も、銭形氏も、みんな戦争へ行ってしまうと思っていたのだろう。

私は、勇気を出して彼に聞く。

「貴方が配属となるのは、どこなのです」

そう言うと、アームストロング氏は、「君には言えない」とだけ言い、ホーミュリア家を去った。彼らはみんな、帰って行った。



「マリセル、シップの手配は出来ましたか?」

私達は、ドタバタとお嬢様の荷物を用意していた。私は部屋からお嬢様の着る物をお出しして、ぬいぐるみのミミを連れ出し、それから兎のコーネリアを庭に迎えに行った。

「ええ。すぐにこちらに着きます」

「それでは、携行食糧はどのように?」

「お嬢様が食べたがっていたチョコバーと、それから、数種類のパンや干し肉、野菜ジュースなどがあります」

「素晴らしい。ではお嬢様、行きましょう。避難所まで、シップでの移動になります。自治区の中枢へ向かうので、空路が混む事が予想されます。申し訳ございませんが、お許し下さい」


「ええ、大丈夫よ。行きましょう」

お嬢様は恐ろしさに気圧されながらも、気丈夫に振舞っているように見えた。だから私は、腕に抱いていたコーネリアを、お嬢様へと預ける。

「大丈夫でございます、お嬢様。コーネリアも、マリセルも、わたくしも一緒ですよ」

そう言うと、お嬢様はお笑いになり、少し元気が出たようだった。