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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第22話 敵の大きさ






私達がフォーミュリア家に戻った時、シルバは居間のソファでパワーを落として眠っていて、もう半分のソファは片付けられ、仮想スクリーンが大きく壁に映し出されていた。

「戻ったぞ、アームストロング」

スクリーンを見詰めていたアームストロングは、こちらを振り向く。

「おかえり。収穫は?」

そこでメルバは、黙ってシルバに近寄り、彼の首にある電源をタッチした。2秒ほどで、シルバはパチリと目を開ける。メルバは、起き上がったシルバに、私達の見つけたレンズを渡した。

「おかえりなさい、メルバ。こちらが見つけた目ですか」

「焦げ跡がある。誰かの破損によって落ちたと考える方が自然だ」

「分かりました。図面から検索しますので、待って下さい。5分位掛かるかもしれません」

シルバの隣でお菓子をパクついていたマルメラードフが、こう言った。

「部品だけで検索しなくちゃならないのに、5分で済むのかい?」

シルバはこともなげに、「僕がアクセスを許可されている、ロボット管理の全データへの同時アクセスをします。5分掛かるのは、システムが重くなった時です」と言った。マルメラードフは「うへえ」と驚き、またお菓子をつまんでいた。



「お嬢様、マリセルです。お入りになってはいけませんでしょうか」

私の自室の扉をノックして、マリセルが控えめな声で呼び掛けたのを聴いた。私はベッドに伏して泣いていたけど、慌てて涙を拭いて、少し大きな声で、「いいわよ」と言った。

ドアを開けて慎重に上半身だけを現したマリセルは、私の顔を見て、悲しそうな顔をした。それから、扉をくぐって後を閉める。

マリセルには、泣いていたのは分かってしまったみたい。でも私は、言い訳をしようとは思わなかった。

「お嬢様、さぞご心配だと思いまして…お一人で居るのは寂しいでしょう…」

マリセルは、もうターカスの事を知っている。知っていて、私のために隠していたのだと分かった。彼なら、私にとってターカスがどんなに大事なのか、分かってくれる。だから、こう言った。

「ええ…とても…」

マリセルは、それ以上何かを口にするのも辛そうな顔をしていたから、私はすぐにこう言った。

「でも、大丈夫よ。ターカスが私を置いていくはずがないもの」

「そうですね…」

その時、私の部屋のドアが、別の人物によって、コンコンコンとノックされた。マリセルは振り向き、「どなたでしょう」と聞く。

「アームストロングです。ホーミュリア様に見せたい物があるので、居間においで頂きたいのですが」

私は少し怖くて、それから精一杯期待をして、「今行くわ!」と叫んだ。