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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第21話 捜索






私はとりあえず、起こった事を整理しようと話を始めたかった。でもその前に一つ、ヘラ嬢に肝心な質問をした。

「ヘラ・フォン・ホーミュリア様。あなたは、誰の意思でこの家をお出になったのですか?」

ヘラ嬢は言いにくそうにしていた。それはそうだろう。事がここまで大きくなってしまったのだから。でも彼女は、顔は俯かせながらも私の目を見て、こう言う。

「わたくしが家を出たくて…ターカスに命じて、そうしました…ごめんなさい」

その言葉を聴いてマリセルを振り返ると、彼は思った通りにショックを受けていたようだった。私はまた前を見て、ヘラ嬢に聞く。

「命じたという事は、“命令の句”を使ってしまったのですか?」

ロボットに自分の意思を絶対的に示す時には、肩書きとフルネームを使い、「命じる」と断言しなければいけない。

ますます気まずそうに、もう泣きそうな顔をして、ヘラ嬢は「はい」と答えた。

「そうですか…」

ヘラ嬢は何も、ターカスに犯罪を起こさせたわけでもない。問題は、ヘラ嬢の望みを徹底的に完遂出来る以上の能力を持ったロボットであるターカスが、屋敷にも戻らず、どこかへ消えた事だ。

私はその場に居た全員を振り返り、こう話し始めた。

「ターカスが戻るまで、私達は安心出来ない。彼は兵器ロボットで、どうやらその実力を発揮出来るのだから。彼がどこに居るのか分かるまで捜査が続けられるよう、私は上に報告をする。シルバは続けて捜索に当たり、メルバは本部へ戻ってくれ。マルメラードフ氏、あなたはもう一度世界連への交渉にあたってくれますか?」

そこでマルメラードフ氏は、室内をきょろきょろと見回し、小さな声でこう言った。

「アームストロング君、いつまでもこのお屋敷を使わせてもらうのは、まずいんじゃないのかね?それに、本部の方が何かとやりやすいだろうし…」

そう言われるだろうと思っていた。私は、ヘラ嬢とマリセルが腰かけるテーブルに目をやる。予想通り、ヘラ嬢は私の目を見詰め、こう言った。

「ここで続けて捜査をして下さいませんか?こちらが出来る事はなんでもしますわ」

その言葉に私は頷き、マルメラードフ氏も納得してくれた。メルバだけは、不服そうに屋敷を去った。