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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第20話 追跡






エリックは、「これは自分の意志だ」と言った。エリックには、主人を想う気持ちと、義憤に燃える心があるのかもしれないと、私は思った。しかし、やはり私には出来ない。人を殺すなど。

「エリック、私はメイドとして、家庭に居たのです。だから、人を殺すなど到底出来ません」

私がそう言うと、エリックはまた元の毒々しい笑い顔に戻ってこう言った。

「ロック機能の事だろ。でも、ターカス。お前達からそれを外すのは簡単だったぜ。だってお前は元々は兵器なんだから、むしろ人を殺せないロック機能の方が後付けなんだよ」

私は驚愕し、戦慄した。まさか。

「エリック!あなた、まさか…!」

エリックはやけにゆっくりと頷いた。

「ああ。もうロックは取り除いてある。お前は今や、戦争兵器だ」

“ああ!私はもうお嬢様のところへ戻れないかもしれない!”と、私は思った。

人殺しのための道具に戻ってしまったら、私は、ヘラお嬢様を守る者としては生きられない。そう思った。だから私は動かない体を動かし、エリックに掴みかかろうとした。でも、足が取り外され、磁力錠に腕が捕らえられた私は、床に転がる事しか出来なかった。

「なんという事をしてくれたのです!あまりに酷い!」

私がそう叫んでも、エリックは相手にしてくれなかった。彼は今度は、笑いもせずにまた真剣な顔になり、こう言った。

「言っただろ。手段を選んでいられねえんだ」