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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第19話 大いなる陰謀






「ねえ…その、“自動射撃システム”って、何かしら…?」

私が聞いた事に、青い髪の男の子が答える。

「あなたが居た「過去都市ケルン」の一帯は、世界連によって人類が締め出されてるんだ。近づこうとすれば射撃されて、シップも簡単に墜落する。どうやら、ターカスはそれを跳ね返せるらしいけどな」

その男の子は、なんだか納得していない様子で、私を見て、文句みたいにそう言った。

「そ、そんな事に…そんな場所にターカスを残してきて、大丈夫なのかしら?」

私は慌てていたのに、青い髪の男の子は動じないで、やや呆れたように、脇を見てこう言う。

「大丈夫だろ。まだ銭形とは勝負してねえけど、アルバを一瞬で破壊出来るんだからな」

「えっ?破壊って…?アルバって、何…?」

私がそう聞いても、青い髪の男の子は「それはいいんだよ」と言って、こっちを見てくれなかった。そのまま、話は移り変わる。

「要は!ターカスが捕らわれるとしたら、よほどの力が必要で!銭形達がケルンに侵入する時間を知ってなきゃ無理って話!」

私はそれを聞いて、なんだか物語を目の前で読まれているような気分になった。だって、それは多分、とても強い人達にターカスがさらわれていったって事だろうし、そんな事、本当にあるのかしら…?

「じゃあ、ターカスは…」

そこで初めて、お洒落な上下揃いのスーツを着た「捜査員さん」が口を開いた。彼は私に向かって、ゆっくりとこう話す。

「あなたを置いて家出をしたか、もしくは何者かに捕らえられているかのどちらかです。どちらがより可能性が高いですか?」

私はもちろん、「ターカスが私を置いていくはずがない」と言いたかった。でも、家庭用のメイドロボットを、殺されるかもしれない局面に立ち向かってでもさらいたい人なんて、居るのかしら…?

私には、確かめないといけない事がある。この数日のケルンで起きた事だって、全部知ってるわけじゃないから。私は少し顎を引き、捜査員さんを見詰めた。

「ターカスが、私を置いていくわけはありません。でも…もしターカスがさらわれたんだとしたら…今度はあなた達の思い当たる理由を、伺いたいわ」