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火曜日の幻想譚 Ⅲ

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322.線引き



 日本では、チョウ目が6000種ほど知られているらしいが、そのうちチョウと呼ばれるものは250種くらいらしい。それ以外の5700超の種類は、全て、ガに分類されてしまうと聞いた。

 こんな話を聞くと、チョウとガの線引きはどうやっているのかという疑問を抱きたくなるが、実はこれがすごく難しいらしく、それなりに知識を持った方でも判定が難しい種もいるらしい。
 チョウとガの境界線あたりに属していそうなものは、この事をどう思っているのだろうか。ガの中には、チョウとして人間の脚光を浴びたくて浴びたくて仕方がない、というものもいそうな気がする。チョウといえば、バタフライ効果とか胡蝶の夢とか魂を運ぶだとか、どれも幻想的でかっこいい。反対に、チョウの中にはガとして、もう少しのんびりやりたいというものもいるかもしれない。まあ、ガがのんびりできるというのは完全に私の主観で、ガの世界ももちろんとても厳しいとは思うのだけれど。

 いずれにしても、どこかにラインを引いてしまうと、どうしてもそれになじめないというものが出てきてしまうのかもしれない。いっそ、どんなものとも干渉せずに孤高を貫くか、反対に、虫や生物という枠すら飛びこえ、万物というカテゴリーで一体感に浸ってしまえばいいのではないかと考えてしまう。
 めんどくさがりな私は、こうやってすぐ分かりやすいものを求めてしまうが、きっと専門家のかたがたは最適解を求めて、日夜、そのラインの調整に尽力されているのだろう。大変、頭が下がる思いだ。同じ人間に分類されてしまうのが申し訳ないほどに。

 いや、ここで人間に分類されるのが申し訳ないとか言い出すと、またまたラインを作ることになってしまう。ここは同じ人間ということで、どうか一線を引かずに僕も仲間に入れてください。よろしくお願いします。


作品名:火曜日の幻想譚 Ⅲ 作家名:六色塔