円談
円
フラッシュバックであの時の事を思い出す事があった当初すぐに気が付いたことある。あの時計回りの【不文律】ことである。
わたくしはそんな事も忘れていたがあの時。
《周回は『反時計回り』で行われていた。》
歩き始めたのはわたくし自身である。どっちに歩き出すかの選択肢はわたくしにあった。
わたくしは間違えたのだろうか。いや間違えたのだ。よく考えてみたのだあの周回を。
《アレは4人では出来なかったのだ。》
1人が歩く、1人の肩を触る、触られた人が歩く。改めて頭で思い浮かべてみる。
4人目は誰に触れればいい。5人いないと成立しなかった。
《いるはずのない5人目があの場にはいたのだ。》
そもそもわたくしたちは救助直前まで周回をしていたはずなのに何故3人は凍死していた。どのタイミングで。
「お姉さま。それでは藍はこれで。」
嫌だ。わたくしは1人になりたくない。行かないで藍さん。
部屋の隅に目をやる。
「つっ……。」
いつもだ。いつもそこにいる。部屋の隅。わたくしにしか見えていない。
「?お姉さまどうかなされました?」
藍さんを巻き込んではいけない。あの時の3人のように。
「いえ。なんでもありませんわ。また後でね。」
わたくしは孤独が嫌いだ。いや孤独なんかではない。常にわたくしは孤独ではない。
「はい!ではまた!」
このエンが切れるまでは。