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端数報告3

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俺達黄巾族


 
どうも最近のテレビを見てると、たとえば、
 
「今日は全国で65人の方がコロナでお亡くなりになりました。これで死者の累計は6789人になります」
 
なんて言ったニュースが翌日、
 
「今日は全国で67人の方がコロナでお亡くなりになりました。これで死者の累計は7654人になります」
 
だとか、計算の合わないことを言い出したような感じがするんだけど、おれの気のせいかなあ。いや、いちいち注意して数字を聞いてるわけじゃないんで、よくわからないんだけど、毎日ノートにつけてらっしゃる方はいますか。
 
世に公表される数字と実際の数が違うのはどこの世界にもある話で、『宇宙戦艦ヤマト2199』の円盤は7巻の累計で50万枚売れたとバンダイは言うけれどほんとは30万枚くらいだろうと言われる。おれは前回、グリ森事件関連の〈53年テープ〉とやらの話をして、「ウィキには《1993年に兵庫県警が編集して公開した》と書いてあるけどこれはどうも」とか書きました。
 
例によって今回は、この話をもう少し掘り下げてみることにしよう。ウィキには事件の数ある犯人像説の中にひとつ、〈被差別部落説〉というのがあるとして、
 
   *
 
この事件に関しては、被差別部落関係者が関与しているという説もある。その根拠は、9月18日の森永の男の子の声による脅迫テープを分析した結果、周辺環境の音の中に皮革製品に使用される独特のミシンの音が入っていたということ、犯人グループが使用したもののほとんどがマイノリティの多い町の近くのスーパーで購入されていたこと、というものであった。しかし、被差別部落関係に対する捜査について作家の宮崎学は、部落解放同盟が抗議をしたため捜査が打ち切られたとしている。被差別部落出身者の関与については、一橋文哉によるノンフィクション『闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相』でXとしてほのめかされ、この事件をモチーフにした高村薫の小説『レディ・ジョーカー』でも扱われている。
 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BB%E6%A3%AE%E6%B0%B8%E4%BA%8B%E4%BB%B6
 
こんなことが書いてある。ミシンの音に、《使用したもののほとんどがマイノリティの多い町の近くのスーパーで購入されていた》って、それだけ? 前回にNHKスペシャルから引用した当時の大阪府警捜査一課長の、
 
   *
 
「大量生産・大量消費ですから、特定の持っている方を探す難しさ。さらにそれから犯人まで絞り込んでいく難しさですね。そういうものが結局……」
 
画像:NHKスペシャル『グリコ・森永』番組タイトル
 
って話と食い違わねえか? いやその、『闇に消えた怪人』とかいう本を読まずに言うのもなんだけれども、ちょっとねえ。
 
アフェリエイト:闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相
 
《多い町の近く》とか《ほとんど》とか《マイノリティ》とかいう言い方が全部奥歯に物が挟まっていませんか。それに、
《しかし、被差別部落関係に対する捜査について作家の宮崎学は、部落解放同盟が抗議をしたため捜査が打ち切られたとしている。》
というのもだから前回書いた通り、兵庫県警の本部長だの刑事部長だのが替わるたんびにその〈53年テープ〉とか、一橋文哉ってやつの本を読んで、
 
「部落の中に犯人が必ずいるに違いない!」
 
と言い出すもんだから刑事が『砂の器』と言うか、『人間の証明』と言うか『飢餓海峡』と言うか、『Gメン'75』と言うかなその手の犯人像を求めて被差別部落に赴き、現実はその手の作り話とちゃうから、
 
「なんだお前ら」
 
と言われることになったってのが真相じゃないの? どうもウィキを読む限り、おれにはそんな気しかしないんだがねえ。高村薫の『レディ・ジョーカー』なんてのがもう、丹波哲郎が出てきそうで……。
 
だから警察は無能なんだよ。お前達は無意識のうちに誘拐事件に動機と背後関係と反権力の思想を求めている。お前達は勝手に犯人像をふくらませ、自ら霧の中に迷い込んだと『踊る大捜査線THE MOVIE(1)』の中で〈テディ〉は言った。これがそれだ。こんなんじゃあグリ森事件の犯人どころか、下着泥棒のひとりだって捕まえられてたまるものか。
 
人が事件を起こしてるのじゃなく、事件が人を起こしている。《捜査本部は〈53年テープ〉の送り主をグリ森事件犯人グループの一味と断定した》とウィキにあるが、ただこれだけの記述を見てもいろいろおかしい。
 
《犯人グループの一員と目された人物の声紋鑑定の材料にした》 
とあるけど声紋を鑑定してみた結果どうだったのか。〈ポジティブ〉だったか〈ネガティブ〉だったか。それがここには書いてない。
 
〈書いてない〉ということはポジティブだったように見せてネガティブだったということだ。そうだろ、ええ? 鑑定したら「違う」という結果が出たのに8年間しがみついて「これがそいつに違いない。鑑定が間違ってるんだ。部落の中に犯人がいるに決まってるんだ」と言い続けた。そうして「なんだお前ら」と言われることになるところまでつっつき続けた。
 
そういうことなんじゃねえのか、ええ? SMAPの草?剛が昔に酔って全裸事件を起こしたときのあれと同じだろ。尿検査で「違う」と出たのに家宅捜索。警察も警察だけれどあの日のマスコミや政治家どもがどうだったか皆さん憶えてるでしょう。
 
ここで再三書いてきたが、マスコミ人種や政界人種は必ず古代進である。『ヤマト』の古代進的人間だから、 
「絶対麻薬やってますよね。やってないはずないですよ。見つかるまで徹底的に捜索を続けるべきです。絶対やってるんだから!」
とか、
「最低最悪の人間だ。『ハダカで何が悪い』だって? ふざけるのも大概にしろとワタシは言いたい。人気があれば何をやっても許されると思ってるなら大間違いだと教えてやらなきゃならんでしょうな。芸能界から追放し、二度とテレビに出られないようするのがスジというもので……」
 
なんてなことを嵩にかかって言い立てた。あの日におれはニュースを見ながらそいつらにハラワタ煮えくり返ったもんだが、日本国民の99パーがおれと同じで本当に良かった。
 
ですが、おわかりでしょう。マスコミ人種や政治家族は必ずああいう人間であり、例外が存在しないし存在し得ない。そういう人間でない者、つまり、偽善者ではない者がマスコミ業界や政治の世界に入ることがそもそもない。あのときああだった者達は、この一年の〈コロナ禍〉の中であのときと同じ顔して同じ口を利いている。自分達は良識派。ゆえに正義の味方であり、感染者は人間のクズと。彼らは人類の敵であり、魂を悪魔に売った魔女なのだ。死ね。だから死ね。裏切り者め。彼らが生きていることでお年寄りが死に、〈波〉が起きることになると言うのにのうのうと生き続けるとはどこまで恥を知らぬのだろうか。二度と働けないようにしてやったのにまだ生きるのか。最低のやつらめ。早く首吊って死ねばいいのに。死ねばいいのに。死ねばいいのに……。
 
作品名:端数報告3 作家名:島田信之