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端数報告2

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〈グリコ・森永〉を語るのが帝銀事件を語ることになると思うので続けるが、おれは前回、ケーブルテレビで5年前に〈グリ森〉の番組をやったのを見て、題は正確に憶えてないが……などと書いた。書いたけど、しかしなんと、同じその番組がまたちょうどやったんだよ。題もわかったが、
 
画像:NHK未解決事件グリコ・森永事件番組表
 
こうだって。おれが見たのは5年前だが、元は2011年にNHKが地上波で全3回のミニ・シリーズとして放映したものらしく、第1部が1時間、2部と3部がそれぞれ1時間半の計4時間。この番組表を見て思い出したが、第1部が上川隆也主演の事件の再現ドラマになってて、これはまあ悪くもなかった。問題は2部と3部で、これはただおっさんが次から次に出てきて、
 
「あの事件はどうして解決できなかったんだろう。犯行グループはグリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いなかったんだが、その線をどれだけたどっても何も出てこなかったんだ。グリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いないんだがね、うん」
 
「あの事件はどうして解決できなかったんだろう。犯行グループはグリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いなかったんだが、その線をどれだけたどっても何も出てこなかったんだ。グリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いないんだがね、うん」
 
「あの事件はどうして解決できなかったんだろう。犯行グループはグリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いなかったんだが、その線をどれだけたどっても何も出てこなかったんだ。グリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いないんだがね、うん」
 
と同じことを言う。3時間ずっとそれだけ、というおそるべきシロモノで、まともに見たらおそらくあなたは気がおかしくなるでしょう。
 
で、第1部だけあらためて録画したんだが、帝銀事件と言えば毒。毒と言えば〈グリコ・森永〉。だから昭和の毒を使った怪事件として、この帝銀事件のブログで〈グリ森〉を語っても関係ないけど関係ありとしていいでしょう。再現ドラマでは新聞記者を演じている上川隆也が事件を追いつつ、
 
「これはこの世の終わりなのか。この世の終わりが来てしまったということなのかあっ!」
 
と一時間ずっと叫び続ける。暑苦しい。グリコの社長が誘拐された段階では、
  
「犯人達はグリコへの怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持っているのは間違いないな。しかしわからん。どういうことだ……」
 
なんて言ってる程度だからまだいいが、森永のキャラメルに毒が入ると、
 
「なななな、なんということだ! こんなことが起きてしまったら、もう安心して何も買えない! 森永キャラメルだけでなく、何ひとつ安心して買うことができない!」
 
とか言って、自販機で缶コーヒー一本買っても、おそるおそる口をつけ、
 
「まだ生きてる! 良かった。まだ生きてるぞおーっ!!」
 
と泣きながら叫ぶ。確かにこういう人間が、この事件のとき結構いた。
 
おれが住んでる下妻にもいた。おれは「関西の話じゃん」なんて感じで平然としてたが、クラスの中にも、
 
「お前、どうしてそんなものが食えるんだ! 死ぬぞ! 死ぬ! 絶対に死ぬ!」
 
といちいち叫ぶのでうるさくてしょうがないのがいた。家の前もひっきりなしに町の政治家の街宣カーが、
 
「ワタシがこの下妻の食の安全を護ります!」
 
と叫んで通るのでもうたまったもんじゃない。しかし道には泣きながら、
 
「お願いします! お願いします!」
 
とわめいているおばさんもいた。
 
テレビをつければアナウンサーが、
 
「これではっきりしました! 犯人達の本当の狙いは、この地球という星を粉々にすることだったのです。キャラメルに毒が入れられてしまった以上、もうこの日本という国はズブズブと海に沈んでいくしかない! 日本は毒入りキャラメル一個のために沈没する。そして地球もチリも残さず吹き飛んでしまうしかないのです!」
 
だとか言ってる。あ、そう言えば、その顔を見ておれは「宇宙人か」と思ったのをいま思い出したが、あれは池上彰の若い頃じゃないかな。しかし、なんでキャラメルに毒が入ると日本が沈没し、地球が破裂することになるのか。
 
未だにわからん。でもやっぱりこの再現ドラマも、上川隆也が、
 
「幸いにしてこの日本は沈没せず、地球も砕け散らずに済んだ……ようだが、危ないところだった。一体どこまできわどいところだったのだろう。あとほんのちょっとだったのは間違いないが……」
 
とか言って終わる。うん、確かにその当時、テレビはそう言っていたよな。
 
で、クラスでもそれを本気にしているやつが、
 
「お前な、あとほんのちょっとで、地球はなくなるとこだったんだぞ」
 
と言う。まあ、犯人達は確かに、頭のいいやつらだよな。とだけ当時におれは思った。後にR・ハインラインの、
 
アフェリエイト:月は無慈悲な夜の女王
 
これを読んだ時にも『すごい。頭のいいやつが書いた小説だな。話はつまらないけど』と思ったがこの本については、
 
ザ・コクピット・オブ・コスモゼロ - ハーメルン (syosetu.org)
https://syosetu.org/novel/147217/
 
小説投稿サイト〈ハーメルン〉におれが出してるこの作の〈感想〉ページに書いたことがちょっとあるのでよろしければリンクを押して記述を探してみてください。これをヒントにして書いたとも言えるのが、〈楽天コボ〉でおれが出してる、
 
クラップ・ゲーム・フェノミナン
https://books.rakuten.co.jp/rk/c4c936f145e636b5b3a9d0fee0752ce7/?l-id=item-c-seriesitem
 
なんですけれど、これもよければ。
 
で、〈酒鬼薔薇〉のときもテレビで、
 
「犯人はアインシュタイン級の天才に間違いがないんですね? それほどまでに優れた頭脳を、殺人ゲームのためにしか使わないとはなんてやつだ。恐ろしい……これがゲームの始まりだと言うのなら、次は何をする気なのか。もしや日本を沈没させ、地球も粉々にしようとしている。その完璧な計画を持って実行しようとしているのではないでしょうか。ああ、そうに違いない。そして誰にも止めることはできないんだ。そうだ! もうダメだ! もう我々は死ぬしかないんだ!」
 
とか言っているアナウンサーがいて、おれはそれ見て「宇宙人かな」と思ったことがあるのをいま思い出したが、あれはひょっとして40くらいの池上彰じゃないだろうか。
 
あの事件では犯罪心理学者とかプロファイラーというのがみんな……という、そんな話はどうでもいいけど、〈グリ森〉だ。おれが5年前、『小説:グリコ・森永』というのを書いてそれが、
 
ヤマト航海日誌
作品名:端数報告2 作家名:島田信之