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火曜日の幻想譚 Ⅱ

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227.誕生日プレゼント



 そろそろパパの誕生日です。そこでパパに、何かプレゼントをしたいなと思いました。

 でも、プレゼントといっても何がいいでしょうか。いろいろ考えた結果、パパはいつも肩こりがひどいと言っていたことを思い出しました。
「なら、肩たたき券をあげよう」
 肩たたき券ならば、デザインしてコピーすればすぐにできます。早速紙を用意して、肩たたき券を描いていきます。
「1枚につき、200回ぐらいがいいかな」
「有効期限は1年間かな。来年また作るだろうし」
「パパしか使えないようにしておこう。別にママが使ってもいいけど」
いろいろなアイデアを盛り込んで、券のデザインを楽しく描きました。
 あとはパソコンでスキャンをし、印刷してはさみで切れば完成です。お父さんに見つからずにこれらの作業を終えた僕は、パパの誕生日まで券をしまっておきました。


 そして待ちに待ったパパの誕生日です。珍しく家にいるパパに、肩たたき券を渡します。
「おっ、ありがとう。じゃあ、早速一枚、使わせてくれ」
 いきなりの注文です。僕は喜んで、パパの肩をとんとんたたき始めます。でも肩をたたいているのに、パパは暗い表情です。
「どうしたの?」
肩をたたきながら聞く僕に、パパはうなだれながら答えました。

「実はパパ、会社からも肩をたたかれちゃったんだ」


作品名:火曜日の幻想譚 Ⅱ 作家名:六色塔