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はなもあらしも ~颯太編~

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第八話 決着


 互いの不安をぶつけあってから三日後の早朝。ともえは一人部屋で集中していた。
 出来る限りのことはやった。颯太も一緒にいる。だから大丈夫。
 改めて自己確認を取り、立ち上がる。
 着物を着て袴の帯をギュッと締め、ともえは髪を後ろで束ねる。
 障子を開けた庭は霞んでいて、今日の試合の行方を予測出来ないようにしているようだ。次に少し足に力を入れる。

「……うん、大丈夫」

 医者の言いつけを守り、美琴や真弓、颯太達に見張られながらなんとか我慢しながら練習をしたおかげで、痛みはもうほとんどない。
 残りの時間は驚く程次々スムーズに矢が的へ当たり、イメージトレーニングなどの練習法を教えてくれた真弓に感謝し、あまりの嬉しさに思わず飛びついてしまった程だった。それを横で見ていた颯太が少し不機嫌になったのには気付かなかったが。
 部屋の隅に置かれている弓具店の店主から贈り受けた美しい弓をじっと見つめ、ともえは東京に来てからの事をゆっくりとかみしめるように思い返す。
 たった一月程しか経っていないにも関わらず、随分と長い時間を過ごしたように感じる。
 だが今日が終りではない。修行に終りはないのだ。まだ、ここ日輪道場にいたい。颯太と共にさらに上を目ざしたい。
 そう、心から思うようになっていた。

「ともえ!」

 障子の向こうから、元気よく呼ばれる。

「はい!」

 すぐに破顔し、ともえは荷物をすぐにまとめて障子を開けた。

「ちゃんと寝たか?」
「うん、ばっちり!」
「よっしゃ、そんじゃあ行くぞ!」
「おおっ!!」

 これから、今までの練習の成果を見せるのだ。
 弓道界の将来を掛けた大一番が始まる。