小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

狐鬼 第一章

INDEX|15ページ/116ページ|

次のページ前のページ
 

4



夜の帳が下りる森は一層、不気味さを増す
其れでも彼が傍にいるというだけで、こんなにも心強くなるのか
と、すずめは其の肩を眺める

早目に夕食を済まし早速、祭りへと出掛ける
彼が翳す角灯の灯りを頼りに二人は森の中を進んで行く

「薄気味悪い森かも知れないけど」
「何故か、僕は子どもの頃から気に入ってる」

案の定、月明かりも届かない闇夜を見上げる、彼が言う
確かに此の森は彼の思い出の一部だ
他人の自分が兎や角、言う必要はない

「あ、足元に気を付けて」

そう注意された矢先
彼女は暗い地面から盛り上がった樹木の根に蹴躓く
差し出し掛けた彼の腕が蹌踉めく、すずめの身体を咄嗟に支える

髪と髪が触れる
思わず彼を意識した瞬間、彼女の脳味噌が沸騰した

透かさず傾く、其の上体を起こす
すずめは「有難う」と言うと灯りもないのに暗闇の中をスタスタ歩き始めた

「すずめ、こっちこっち」

右手右足を同時に出す
ナンバ歩きする彼女の後ろ姿目掛け、彼が慌てて呼び止める

こんな調子では先が思いやられる

引き返す自分自身に呆れながら、すずめは言い聞かせる

彼は友達だ
彼は友達以上の、友達だ

其れ以上は望まない
此れ以上は望めない

作品名:狐鬼 第一章 作家名:七星瓢虫