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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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sakura

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さくらの生い立ち



 さくらは徳島県のつるぎ町に生まれた。父親は徳島の県職員であり、家庭は裕福とは言えないが、両親と姉の4人家族は、幸せだと感じて暮らしていた。極端な言い方をすれば、何も知らないからと言ったほうが良いのかもしれない。せいぜい阿波踊りを観たり踊るのが楽しみくらいなのだ。
 さくらはそんな環境もあり、勉強が好きであった。徳島の高校に進学し、教師になる夢があり、難関と言われる筑波大学に進学し、比較文学を専攻した。
 卒業後は栃木県の高校に勤務した。ところが3年で教師を退職した。さくらの描いた教師像と現実のギャップが大きすぎたのだ。退職後は学習塾講師で生計を立てていたが、1コマ2000円では5コマこなして、1万円であるから、何の手当も、ボーナスもないから職替えをを考えていた矢先、同じビルにあるリラクの女性から通訳の勧誘を受けたのである。
「先生は大学出てるから、英語ぐらいは喋れるでしょう」
「はい。英検は2級ですから、普通の会話くらいは」
「お客さんで外人の方がいてさ、日本語が分からないのよ。その方が友達を連れてきてね、嬉しいんだけれどトラブルがあるといやだからね。お願いできるかしら」
さくらは昼間から夕方は塾で働き、夜はリラクのバイトを始めた。
 外人客はそれほど多くはないから、雑用もしなくてはならない。掃除やベットメイクも覚えさせられた。そして、マッサージも覚えようと思い、覚えてみると面白いと感じた。
 ダブルワークであったが、さくらの気持ちはリラクに傾いた。言うまでもなく、稼ぎが違うのだ。1日2万円が平均収入になった。欲が出ると、休むことももったいなくなる。休まなくても、若さと、金の貯まることが、疲れを癒していたのだろう。
[あの時の貴女に会える 口角バストヒップアップのスリーアップはリラクの華へ】
さくらの考えたキャッチコピーは、たったそれだけで、客は3割も増えたのだ。 
さくらは自分を生かせる仕事のように思えた。
作品名:sakura 作家名:吉葉ひろし