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哲学者の苦悩

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「良いではないか良いではないか~」

そう想い訴えかけるのは吉原の花魁にではなく、北海道民が発案したという炬燵にアイスと言う贅沢に贅沢を掛け合わせて炬燵の反対側に生み出した怠惰という名の至福にである。風の噂で聞いた話であるが、北に行けば行くほど肥満率が高く、それは想像できる通り「寒いから必要なんだよ」という通説が現地の人の間では常識だとかなんとかいうらしいが、私が思うにそれは冬の炬燵にアイス、暖房にアイス、夏にアイス、そして締めのアイスと言う4つの所業を乗り越えたからこそできた贅肉品なのであって、贅肉の贅とは贅沢の贅と見てわかる通りそれはとても神聖なものであり、断じて無駄な肉なのではないのだ。その証拠にかの七福神の幸せ担当、布袋尊でさえ太っているではないか。布袋尊だけではない。私は七福神というものにそこまで興味がなくあくまでどこかで見た程度の記憶力ではあるが、少なくとも太っている神様ばっかりであり、それを幸せ太りと言わずして何と言う。デブにデブと言ってはいけませんと幼子に教育する親は正にその通りで、デブとはデブに非ず、もし戦争が起こり飢餓になったとしたら生き残るのはデブなのだぞと教え込むべきだ。
失敬、デブではなく幸腹とでも呼ぶべきか。
それに20数年生きてきて最近恐るべきことに気づいた。真面目な話太るということは才能のうちの1つということだ。これは決して馬鹿にしているわけでもなく、仮に前文すべてが言い訳にしか見えなくても、この本文さえ読んでいただければ決して言い訳しているわけではないと納得できるであろう。
この世の中には太りやすい体質と太れない体質とそれ以外の普通の体質を持った奴らが蔓延っている。普通の体質の人は特に特徴もないので割愛するとして、太れない人と太りやすい人の差には、体重だけではない大きな差があることは明白である。
筋肉は脂肪の三倍重いとされているが、太れない人はこの筋肉ですらつけることができなく、唯一つけれるのは「何を食べてもどれだけ食べても太らないんだよね」というこの世の女からの妬み嫉み恨みというツバだけである。
一方で太りやすい人は、脂肪をつけることはもちろんとして、筋肉もおまけについてくる。なぜなら自動的についた脂肪を支えるにはそれだけの筋肉が必要で、ある程度の重さになったらきっと歩くだけでも我々が想像する以上にカロリーを消費していることであろう。それに大きな目で見ると地球というものは循環しており、またこの太りやすい人というのは例えば数歩歩いたらご飯を食べ始めるように、我々以上に資本主義という循環型社会に貢献をしている。
だがもちろん両者一長一短。どちらかといえばお互いを横に並べると一長一短になることはさておき、あれだけ酷評した太れない人、そしてこれだけ絶賛した太りやすい人に一つ真逆のことを言うとすれば、太れない人はいつまでもルックスはベストの状態で保て、そして太りやすい人はいつまでも自分の体形に自信が持てず、大きくなる体形とは裏腹に心だけは小さく縮こまっていくのだ。

作品名:哲学者の苦悩 作家名:茂野柿