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続・くらしの中で

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その三


地元に住んでいるので電話を掛けて話せる相手は何人かいる。
すべてが女性だがみんな饒舌かといえばそうでもないのである。

一切自分からはしゃべらない人、これも実にしんどい相手だ。
私が口を開かねばその時点でしらっとした沈黙が流れる。
何か話題をと頭をひねって言わなくても良いことを次々しゃべっている自分に嫌気がさしてくる。相手の話す言葉は私の相槌のみなのである。

こちらとしては話しながらそろそろ終わりの言葉を見つけなければと焦る。
そうすると別れ際に、これからもよろしくお願いしますとおっしゃる。
こちらだけしゃべって嫌ではなかったのかなと心配していると、「あなたのお話は御馳走です」と言われてまあよかったのかなとほっとする。


そんなこんなを考えると人とおしゃべりするのは短く内容もさらっと笑ってさよならするのが無難のようだ。

今は亡きあの歌手さんの歌のように「そばにいてくれる だけでいい。黙っていても いいんだよ」と思えるのは女性が相手だとそもそも無理な話なのである。


 完
作品名:続・くらしの中で 作家名:笹峰霧子