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夢で逢えたら ~今月のイラスト~

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 こんにちは、明です。
 え? オマエ誰だって?
 まぁ、忘れられててもしょうがないっすけど……七月の『恋する谷間』に出てた男っす、はち切れそうな胸を黄色いビキニに包んだ……半分も包めてなかったですけど……史恵ちゃんのカレシ役、冗談ばっかり言ってるセンパイ役で。
 思い出してくれたかどうワカンナイっすけど、そこ、そんなに重要じゃないんで先に進めますね。
 要するに史恵ちゃんに首ったけで、史恵ちゃんも俺の事俺の事好きだって言ってくれてる、そういう男だってことだけ踏まえてもらえればオッケーなんで。
 とにかく、俺、寝ても覚めても史恵ちゃんなんっすよ、夜も眠れないんで昼寝しちゃうんっすけど…………。

「あ、史恵ちゃん」
「明さ~ん」
「えっ? どうしてベランダから? それ以前に、ここ四階なんだけど……」
「決まってるじゃない、飛んで来たのよ」
「え? 史恵ちゃんって飛べるんだ……」
「そっ、恋する気持ちは何でも可能にするものなの、会いたくて会いたくて飛んできちゃった」
「ちょっとイミフなんだけど……でも嬉しいよ、史恵ちゃんに会えて」
「あたしもっ」
「わっ、抱きつかれると胸が……あれ? なんで羽が?」
「え? 普通あるでしょ? 羽」
「いやいや普通は……そっか、やっぱり史恵ちゃん、天使だったんだ」
「何でもいいじゃない、明さん、大好き~ぃ」
「僕も大好きだよ」
「あ、飛んでるとこ、見たかった?」
「うん、やっぱ見たいかな……」
「じゃ、飛んで見せてあげるね」
「あ、ベランダの手すりに足をかけて……危ないよ!」
「大丈夫よ、羽があるんだもん」
「わっ! 本当に跳んだ……」
「……明さん、目つぶってたら見えないじゃない」
「ああ良かった、無事だったんだ……うわぁ、本当に羽ばたいて飛んでる!」
「ね? 飛べるでしょ?」
「ところで……それって筋肉だったの?」

「むにゃむにゃ……ああ、夢か……史恵ちゃんマジ天使だからなぁ、こんな夢見ちゃうんだ……それにしてもあの胸が筋肉だなんてありえないよな、マシュマロみたいに柔らかいもんな……」

「どうなさいました~?」
「左下の奥歯が痛むんです」
「見てみましょうね、お口を大きく開けてくださいね」
「あ~ん」
「あらあ、ぽっかりと穴があいてますねぇ……削りますから痛かったらおっしゃって下さいね~」
「はい」
「よいしょっと……あたし、ちょっと胸がじゃまで……明さんの胸の上に置かせてくださいね」
「はあ……?」
 キュィーン
「大丈夫ですかぁ? 痛くないですかぁ?」
「いひゃくなひれ~ふ」

「はっ……またうたたねしてたみたいだな……歯医者行かなくちゃとか思いながらぐずぐずしてるから、今みたいな夢見ちゃうんだな、きっと……でもさ、史恵ちゃんが歯医者さんだったら毎日でも通っちゃうよなぁ、虫歯なんてなくたって通っちゃう……」

「明さ~ん!」
「史恵ちゃん」
「大好き!」
「僕もだよ、あれ? その青い水着どうしたの?」
「や~だ~、明さんが買ってくれたんじゃない」
「そうだったっけ?」
「新婚旅行はハワイにしようって言ってくれて、一緒に選んだじゃない、忘れちゃった?」
「え? そんなことないよ、うん、一緒に選んだっけね」
「明さんがお嫁さんにしてくれて、あたし、すっごい幸せ!」
「うん、僕も史恵ちゃんがお嫁に来てくれてすごく幸せだよ」
「ほら、結婚指輪と婚約指輪、重ねて付けてるのよ」
「気に入ってくれてるんだね?」
「もちろん! 明さんがお仕事頑張って買ってくれた婚約指輪だし、結婚指輪は……ほら、お揃い!……当たり前だけどね(ペロッ)」
「ははは……史恵ちゃん、死ぬまで君を離さないよ、良いだろう?」
「もちろんよ……ぜったい離さないでね、あたしも離れないから……」

「ああ……またうたたねしてたみたいだ……すごく幸せな夢だったなぁ……なんか、俺、聞いたような臭い台詞言ってたみたいだったけど……でもさぁ、天使や歯医者さんは別として、最後のは正夢にしたいなぁ……しないとなぁ……俺、頑張らないといけないな……ウダウダ昼寝なんかしてる場合じゃないよな」

 そして数年後、明の夢は正夢になったかどうか……。
 まあ、それからは明るいばかりが取り柄の男ではなく、勉学にもしっかり勤しむ、随分としっかりした男になり、ちゃんとした会社に就職して頑張っている……と言うことだけお教えしておきましょう。
 

Two lover’s story will be continue……(^^)