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炬善(ごぜん)
炬善(ごぜん)
novelistID. 41661
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CoC:バートンライト奇譚 『毒スープ』前編(上)

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3、ラムおじさん



その日の夜。
 バリツは夢を見た。やけに鮮明な夢を。

 自分はぽつねんと、暗闇の中に立ち尽くしていた。
 就寝したことを確かに覚えている。思考はやたらとはっきりしている。
そしてこれは、夢の中に相違ない。

となれば明晰夢――。

「……っ!!」

自身のトラウマ――「猿夢」の記憶が脳裏を過ぎり、本能的に身構える。
 だが……不気味なアナウンスも、生々しい獣の香りもない。
 音はなく、空気も澄んでいた。
 そもそもだ。冷静になれば――自分がいる場所は、電車ではないのだ。 
 「きさるぎ駅」でもないようだ。
 ただ、眠りの中にも関わらず五感がやたらと機能している実感。
それは、単なる夢では片付けられない『何か』を暗示しているように思えてならなかった。

「この夢は――……」

つぶやき、ふとある違和感に気づいた。
私はこんな声だったか?

自らの右手を見やる……小さい。
続けて左手も。小さい。

足――履き慣れた、困惑するほど懐かしい運動靴。やはり小さい。

 体を曲げながら、自分の服装を確認する。
 普段着のインバネスコート姿ではない。焦げ茶色をベースとしたボーイスカウト風の服装。
 即ちまだまだ幼い頃の自分。ラム・ホルトと共に世界を見て回った頃の服装。

「俺、は――子供になっている?」

 ……俺?

(って、あれ? 『俺』? おれ……私ってば、こんな一人称だったか? ……。)

 ……そういえば――そうだ。


 冒険家教授の脳裏に、ある記憶が蘇る。
 この得意な空間故だろうか?
 その記憶は、やたらと鮮明に思い出された。