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遠藤誠なんて野郎は、34歳で死んでた方が人類のためによかったと知れ!


 
今回はこれまでのおさらいです。帝銀事件の平沢は無実だという通説への疑いをおれが持ったのは
 
アフェリエイト:のほほん人間革命
 
この本を読んでだったからこのブログでは、これが書かれた1995年に平沢の弁護団長をしていた遠藤とオーケンの対談を元に事件を検証しました。
 
『遠藤誠を知れ!』と題するこの章は文庫版で35ページ。そのうち帝銀事件の話は12ページ強になります。これまでにそのほとんどを引用したので、あらためてスキャンしたものを見てもらいつつ遠藤の嘘を振り返りたく思います。
 
画像:のほほん人間革命246-247ページ
画像:のほほん人間革命248-249ページ
 
1.第一ね、生活環境としてはいちばん最悪
一般に死刑囚は、ここで遠藤が言うように冬に暖房がなく、夏は風も入らない蒸し風呂となるような部屋で生活することになるという。だが平沢はどういうわけか特別扱いを受けていて、『写真のワナ』の著者・新藤が聞いたようにむしろ「快適、まったく“別荘”のようなもの」と自分で言った暮らしをしていたはずである。1974年に病院に移されたようだが、以降は看護婦に囲まれて楽しく暮らしていたはずである。遠藤自身が後のページで自分で話しているではないか。
 
アフェリエイト:写真のワナ
 
2.人からの暗示を受けやすい
遠藤よりもオーケンに問題があると思うが、人にもらった本の内容を信じてその著者本人に聞くな。暗示を受けやすいのはお前だ。少しは疑いを持て。清家新一に宇宙人とコンタクトした本をもらったら、その内容を全部いちいち信じるのか。相手が東京大学数物系大学院修士課程を修了した日本物理学会委員だからと言って――遠藤を信じるなら清家の言うこともすべて信じなければおかしい理屈になるぞ。対談するなら他の本も読んでからにしろとオーケンに言いたい。
 
アフェリエイト:トンデモ本の世界
 
3.どうして「仏」と言ったんですか
おれが思うにこれについては、作話症もコルサコフ症候群も関係なかろう。このときにその高木という検事は、平沢を眠らせずに訊問したのではないだろうか。それで自白を取ってもダメなのは明らかで、この事件の話の中でいちばん悪い部分かもしれない。
 
画像:のほほん人間革命250-251ページ
 
4.三菱銀行丸ビル支店事件
解説に12月25日とあるが、11月25日。オーケンは「軽い詐欺事件みたいの」と言い、そのように見せかけているが、実際にはそのひと月後、このときガメた通帳を細工したものを使って重大にして悪質な詐欺を働き失敗している。また、現金一万円は現在の100万円にも相当する金額である。「変わった人ではあった」と言って済ませるようなものではない。
 
5.犯罪学の常識
ブログ中で『凶悪』の後藤良次、振り込め詐欺団殺人事件、愛犬家連続殺人事件といった例を挙げたが、強殺犯が詐欺もやってるケースなど他にいくらでも見つかるだろう。だいたい、銀行員に毒を薬と言って飲ませるのは立派な詐欺であり知能犯罪ではないか。自分に都合のいいときにだけ犯人を知能犯にしたり粗暴犯に変えたりするな。
 
6.証明されてんの
そんな証明したというのが、1959年のことで〈大阪市立大学〉などというところだというのに注目。つまり死刑確定から何年も後の〈証明〉なのだ。そんな話が本当ならばなぜ一審で出てきていない? その大村博士って、どの程度の権威なんだ?
 
科学的にほんとに確かな話なら、少なくとも五人くらいの権威者に見せて肯定的な鑑定を受けていいはずである。それに何より、検事が取調べの前に白紙に指を捺させることをもししていても、平沢が自白した後でその白紙は捨ててしまって新たな紙に調べを書いて拇印を捺し直させればいいはず。なのにどうしてそうしなかったと言うのか。
 
偽造の話が出てきているのが一審から10年も経った後であること。鑑定したのが大阪市立の博士ひとりだけであること。そもそも検事がそれをやる話が理屈に合わないこと。以上三つの点からそれは、平沢の死刑執行をさせないためにデッチ上げた弁護の嘘であるのが明白だ。その〈証明〉が証明するのは、遠藤にせよその前任者にせよ、弁護団の中に平沢の無実を信じる者など実はただのひとりもいなかったこと。彼らの全員が犯人は平沢なのを完全に承知の上で〈救う会〉からタンマリもらえる報酬目当てにイカサマ再審請求を繰り返していたのだという事実に他ならない。
 
画像:のほほん人間革命252-253ページ
 
7.真犯人まで突き止めておった
この本の文庫版あとがきに、オーケンは「なお帝銀事件に関しては、遠藤さんの指摘する人物とは、また別の者を真犯人と主張している人も複数いるようです」と書いている。セーチョーの『小説』にも、何人か浮かんだ容疑者のうち、セーチョーが「平沢よりもずっと怪しい」として挙げている者が何人かいる。が、その中に諏訪はいないし、諏訪にせよ他の誰にせよ、松井名刺を手に入れられる道理も、それを安田銀行荏原支店で使う理由もあるはずないのを考えれば犯人では有り得ないとわからなければおかしいのだが。
 
つまり、「諏訪が真犯人」というのは、たまたま事件の一年後によくわからない理由で死んだ一万分の一のその男を「こいつだ」とその成智という人物ひとりが決めつけているだけに過ぎない。そう考えるのが妥当だろう。「原因不明」と言うだけではどんなふうに不明なのかもわかったものではない。
 
平沢がモンタージュ写真の顔と似ているのはオーケン自身が考えて言うところだが、諏訪については、遠藤が「僕会ってないからわからないんですが〜だそうです」という理由でピタリ一致と言っているだけに過ぎない。こういう言い方をした場合、まったく似ても似つかなくても犯人と双子のように似ていることにしてしまって嘘をついてはいないことにできるわけで、しかし嘘率100パーセントだから人相、風体、骨格はまるでかけ離れているのが鉄板で確実である。
 
ちなみに、おれの手元に今はないので引用できないが森村誠一『悪魔の飽食』だったか何かで〈七三一〉の元隊員が皆、帝銀事件の取調べを受け、その際の刑事の決まり文句が「モンタージュ写真の顔にそっくりだ」だったというのを読んだ記憶がある。20代の若者から身長が20センチも違う者、20キロは太っているのや20センチは髪が長いのまでお構いなしにそう言われたものらしく、すべての調書に《人相、風体、骨格がピタリ一致》とたぶん書かれているのだろう。
 
アフェリエイト:悪魔の飽食(電子書籍)
 
8.GHQは捜査中止命令を出した
まったくの大嘘である。命令など出ていないしGHQと言えどもそんな権限は持たない。
 
作品名:端数報告 作家名:島田信之