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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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魔導士ルーファス(1)

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 誰かが叫んだ。
「甲板に穴があいたぞ!」
 言われなくてもわかってる。もうそこら中水浸しだ。
 船が徐々に傾き、船首が空に向かってこんにちは。
 海賊船が沈むのは時間の問題だった。
 ついでに最悪なことに、電気を帯びたローゼンクロイツのしっぽが、水浸しになった甲板を叩く。
 塩分を含んだ水はとても電気を通し易い!
 ビリビリっと甲板に立っていた海賊が一気にノックダウン。痙攣している姿が診るに無残だ。みんなチリチリパーマになってしまった。
 そんなとき、ルーファスはアインと一緒にさっさと帆によじ登っていた。ローゼンクロイツとの付き合い方を心得ている。
 が、もうすでに帆の先端も海に沈もうとしていた。
 ここでルーファス衝撃の告白。
「私泳げないんだけど?」
「マジですかルーファスさん!(運動神経悪いですもんね)」
 そしてマジですかついでに、ローゼンクロイツが四つ足で帆を駆けて来ていた。
「にゃーっ!」
 猫みたいな鳴き声をあげてローゼンクロイツがルーファスに飛び掛る。
 押し倒されたルーファスは海に投げ出され、伸ばした手がアインの服を掴んで道連れに。
 3人仲良く海の中にドッボーン!
 荒波がすべてを呑み込んでしまった。

「へっくしょん!」
 ルーファスは自分のクシャミで目を覚ました。
「……ここは?」
 視線を動かすとすぐそこでアインが焚き火をくべていた。
「あ、起きましたかルーファスさん」
「うん、なんとか永眠せずに助かったみたい。君が助けてくれたの?」
「はい、死に物狂いでお2人を運びました(本当は途中で1人捨てようかと思ったんだけど)」
 もちろん捨てられるのはルーファス。そんなことも知らずにルーファスは御礼をいう。
「ありがとう、君は命の恩人だね」
「いえいえ、人道的に頑張っただけですから」
 人道的にルーファスを捨てなかった。
 辺りは砂浜のようで、少し先には森らしき緑が見えた。
 しかし、ローゼンクロイツが見当たらない。
「ローゼンクロイツは?」
「ボクならここだよ(ふあふあ)」
 ビクッとして振り向くと、ローゼンクロイツはルーファスの真後ろに立っていた。
「脅かせないでよ」
「脅かしてないよ(ふあふあ)。ちょうどコッチの方向から歩いてきただけさ(ふあふあ)」
「何してたの?」
「見ればわかるだろ?(ふー)」
 ルーファスは目を凝らしてローゼンクロイツを見た。空色ドレスの裾がひらひら揺れている。いつもと変わらない見た目だ。
「どこが違うの?(つむじの位置が1センチ移動してたり、そんなのだったらもわからないよ?)」
 そんなアホなことはない。
「服が乾いているだろ?(ふぅ)」
「あ、ホントだ……ハックション!」
 大きなクシャミをしたルーファス服はびしょびしょだ。焚き火に当たっているアインの服もびしょびしょ。海水なのでベトベトもプラスだ。不快感満点!
「どうやって乾かしたの?」
 と、ルーファスが尋ねると、
「……企業秘密(ふっ)」
 軽く鼻であざ笑われた。
「はくしゅん!」
 今度はアインのクシャミだ。
「まさか着替えとかありませんよねぇ?」
 アインは鼻をすすりながら2人に尋ねた。
 するとローゼンクロイツは砂浜に打ち上げられた貝殻を指さした。
「貝殻水着に着替えるといいよ(ふあふあ)」
「そんな恥ずかしい格好できません!(でもローゼンクロイツ様は言うなら……)」
「……ウソ(ふっ)」
 無表情な顔についた口が一瞬だけ歪み、すぐに無表情に戻る。
 そのローゼンクロイツスマイルにアインショック!
 でも、なぜか顔がニヤけてしまう。
 ぶっちゃけ、アインはローゼンクロイツになにされても『萌え』で片付くのだ。
 ルーファスはびしょ濡れの服を脱ぎはじめた。そこへローゼンクロイツがすかさずツッコミ。
「貝殻水着に着替えるの?(ふあふあ)」
「違うよ! 私の魔法で服を乾かそうと思っただけだよ」
 とりあえず分厚い上着の魔導衣を脱ぎ、砂浜の上にポイと投げた。
 そして、得意の風魔導エアプレッシャーを放った。
 圧縮された空気が魔導衣にぶつかり、舞い上がった砂と一緒に魔導衣もぶっ飛んだ。
 そして、そのまま魔導衣は強風に煽られ飛んでいく。しかも砂まみれの魔導衣。
「ま、待ってよ!」
 魔導衣を追いかけるルーファス。その姿がかなり滑稽だ。
 そんな姿を見ながらアインがボソッと。
「あの人本当にクラウス魔導学院の生徒なんですか?」
「入学に運を全部使ったんだよ(ふあふあ)」
 ローゼンクロイツの言うとおりのような気がする。
「そうなんですか……(あたしのほうが魔導の才能あるかも)」
 ちなみにアインは努力と根性と、ローゼンクロイツへの?愛?で入学した。
 ちなみにローゼンクロイツはなんとなく入学できた。
「じゃ、そろそろ行くよ(ふあふあ)」
 ルーファスが走って行った方向とは真逆にローゼンクロイツは歩き出した。アインも構わず歩き出した。もちろんカマってもらえてないのはルーファスだ。
「ま、待ってよぉ〜!」
 ルーファスは海に落ちた魔導衣を拾い上げ、森に入っていった2人を追った。
 ちなみに、言うまでもないが、魔導衣はさっきよりもびしょびしょだ。
 マジ頭弱いルーファス。
 通称へっぽこ魔導師の二言なし!