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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影惑い 探偵奇談19

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魔物の魔。悪魔の魔。

「魔がさす、と言うであろ。日常にさす魔じゃ。隙間に入り込んでくる異物。おぬしはいろいろなものを引き寄せるのだ。よいものも、悪いものも」
「人間、なの?幽霊なの?」
「わからぬ。あんなものは中々目にせぬぞ」
「怖すぎるんだけど…あんな、友達みたいな態度で…」

もっとオバケとか、幽霊とか、百歩譲って生霊であるとか。そういうものなら理解できるが。自分と同じような人間の姿で近づいてくる、それが不可解で恐ろしい。

「力を持っていた半身をあるべき場所へ帰したことで、おぬしの強力だった力の一部が失われた」

半身、というのは、伊吹とともに別れを告げた「向こう側の自分」のことだ…。詳しいことは瑞もわからないのだが、伊吹に会うために繰り返し転生するほどの力を持っていたようなのだ。

「未だおぬしの魂にその力の残滓が存在しているとはいえ…魅入られるような隙も生じておるということだ。此処では沓薙の加護があるものの…夕暮れと夜明けは気を付けたほうがよかろう」

腕を抱く。幽霊とか、妖怪とか、そういったものとは違う。あれは悪意の塊が、意思を持って体現しているかのようだ。そんな不快感を伴って現れるのだ。

「何が目的なのかな…」
「わからぬ」

瑞個人に、恨みでもあるかのような物の言い方だった。もっと苦しめと、そんな風に告げていた。あいつは…誰だ。夕島、そんな知り合い、いただろうか…。なぜ自分はあいつの名前を知っているんだろう。

「瑞?」
「あ、はい、うん、大丈夫…」

霞がかったような頭の中で、自分の名前を呼ぶ声が夕島の聞こえる。伊吹に初めて会った時にも、思いだしてはいけないという警告めいた感覚があったが、夕島と対峙したときに感じたのは、それとは性質が違う感覚だった。伊吹に感じた痛いくらいの懐かしさと温かさとは違う。ひやりと冷たく、尖った氷を突きつけられるような緊張感。

陽が沈み、空には薄い紫の空が広がり始めていた。





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作品名:影惑い 探偵奇談19 作家名:ひなた眞白