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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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雨の妖精フォーナ

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みんな、わたしの歌を聞いたことがあるんじゃないかな?
 わたしはとっても気分屋で、いろんな歌をうたうから、どれがだどれだかおぼえてないかもしれないよね。
 ゆっくりだったり、しずかだったり、うるさいっていわれるほど大きなこえで歌ったり。ほかの子といっしょに歌うこともあるしね。たとえば、雷の子とか。
 みんな、雨はきらい?
 きらいなひとは多いよね?
 せっかくさいたお花をちらしてしまったりするし、たのしみにしてたピクニックに行けなくなったりするもんね。
 だからね、歌うの。
 みんながさびしくならないように。かなしくならないように。
 でもね、どんなに明るく歌っても、みんな聞いてくれないの。どんなにたのしく歌っても、みんなさびしそうなの。
 やっぱり、お日さまが好きよね。明るいしあたたかいし、おそとであそべるし。
 わたしだって、みんながわらってるのを見たいんだよ?
 だから、雨ふりのときは歌うの。
 雨のしずくは小さな音符。小さすぎてわからないけど、あつめたら見えるよ。
 ほら。屋根からおちるしずく。木のえだにたまったしずく。
 耳をすましてみて?
 ちいさな水たまりにおちたととき、音符が見えるよ?
 とおくでふる雨はにじをつくるよ?
 よく見てみて?
 虹のいろは七つ。ドからシまでのおとも七つだよ。
 だからね。
 雨ふりのときは、耳をすましてみて。
 きっと、わたしの歌が聞こえるはずだから。
作品名:雨の妖精フォーナ 作家名:泉絵師 遙夏