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一人旅の勧め

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最悪の夜


旅先で最悪の夜を過ごした思い出を書きたい。
昔、茨城の大洗海岸に2泊3日で旅行に行ったときのことだ。
初日、大洗海岸に到着して海辺の砂浜を散策した。すると、地元の漁師が籠に岩の塊のような物をたくさん入れて運んでいるのに出会った。
私は旅先で地元の人と濃密に触れ合いたいとは思わないが、多少の触れ合いがあると楽しいと考えている。だからそのときも、「何を運んでいるのですか?」と話しかけた。
するとその漁師は、「これは地元名産の『岩牡蠣』ですよ。」と答えてくれた。
確かに大洗海岸は岩牡蠣の産地で、土産物屋などでも販売されていた。
気さくそうな初老の漁師は、「お金はいらないから、一個食べてみるかい? 美味しいよ。」と言ってくれたので、厚意に甘えることにした。
漁師は、岩牡蠣の殻に金属製のヘラのようなものを差し込み、その岩の塊のような殻を器用に開いて中身を取り出して見せてくれた。ぷっくりと膨らんで美味しそうな牡蠣だった。私はその生の岩牡蠣をいただくと、つるりと食べた。新鮮な牡蠣の風味と潮の香が口にいっぱいに広がり、確かに美味しかった。
私は漁師と少し世間話をした後、牡蠣のお礼を言って別れた。
異変が起こったのは、その日の深夜だった。
ホテルで寝ていた私は、激しい腹痛で目を覚ました。それからの時間は、布団とトイレの往復に費やされることになった。しまいには、腹痛を堪えて布団に戻るのが面倒になり、トイレに籠りっきりになった。
朝になってからホテルのフロントに事情を話し、紹介してもらった地元の病院に駆け込んで応急措置を行ってもらった。しかし、旅行はそこで切り上げて帰宅せざるを得なかった。
牡蠣やホタテは新鮮でも中毒することがある。と言っても牡蠣やホタテに罪はない。牡蠣が食べたプランクトンがウィルスを持っていたり、プランクトンを食べたときに一緒に飲み込んだ海水にノロウィルスやビブリオ菌が含まれているのだ。
皆さんも、旅先で食べる貝類には、ご注意いただければと思う。

作品名:一人旅の勧め 作家名:sirius2014