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東京メランコリズム【後編】

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「やっぱりコーヒーはブラックなんですね。」
「うん。味がちゃんとわかるからね。」
「私はクリームと砂糖を入れないと飲めなくて…」
そう言ってユキはクリームと砂糖を少しずつ入れた。
「やっぱりシンジさんは大人ですね。それに蓮斗さんにそっくりです。」
「そうなんだ…」
「そうですよ。」
「そういえば秘密の話って?」
「私、鬱病…あ、違うのか…」
「え?」
「鬱病って診断されてたのですが、なんか別の病気みたいなんです。」
「そうなんですか。職場の方は知ってるの?」
「いえ、誰にも話してません。蓮斗さんは知ってましたけど。」
「そうだよね。言いづらいよね…」
「いえ、そうではなくて…なんかめんどくさくて…」
「確かに噂とかになったら面倒だよね。」
「はい。」
「でもよくバレないね。」
「隠し事、上手いんです。」
「そう…」
「あ、誰にも言わないでくださいね。」
「もちろん。」
「シンジさん、優しいですね。そろそろ出ますか?」
「そうしようか…少しふらふらしない?」
「ふふふ。いいですよ。」
そう言ってふたりは喫茶店を後にした。

 夜の町田は昼とは違う顔をしている。若干だが、治安が悪い感じがする。それはシンジの気のせいかもしれない。しかし、違う表情をしていることには変わりはなかった。
「ねぇ、ユキちゃん、何か見たいものとかない?」
「私は大丈夫です。シンジさんの見たいところを見てください。」
「ねぇ、うちに来ない?」
「え?いいんですか?」
「うん。ユキちゃんさえ良ければ。」
「行ってみたいです。」
「じゃあ、うち行こうか…」

 シンジには下心があった。ユキはそれに気付いていると思っていた。そしてシンジの家に着いた。
「お邪魔します。」