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晴れた日の過ごし方 2

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act.7 Black Coffee


「ヤン、今日はゴメンね」
その日泊まりにきたセシルは、家の主人のヤンに申し訳なさそうに頭を下げた。居間で茶を飲んでいたヤンは、
「気にするな。私も妻も、いつでも遊びにきて欲しいと思ってるぞ」
「そう言ってもらえると助かるな。ありがとう」
女性的な美貌に、柔らかい笑みを浮かべるセシル。
「だが、セシル殿はカイン殿と暮らしているのではないのか?『泊まらせて欲しい』だなど何があったのだ?」
ヤンの答え辛い問いかけに、セシルは綺麗な顔を強張らせる。
「……一緒に暮らしているのだけど、年に一度のこの日だけは、カインは一人になりたいようなんだ」
カレンダーに視線をやるセシル。
今日は8月5日。
夏の本番を感じさせる日付ではある。
その日、カインに何があったというのか。
「セシル殿……カイン殿に何が……」
ヤンが更に問うと、セシルはやり切れなさそうに頭を振る。
銀色の長い髪が、フワフワと揺れる。
その、あまりにも辛そうなセシルの様子にヤンはとんでもない事を訊いてしまったなと後悔したが、セシルはエメラルドの瞳に怒りと悲しみとカインへの深い親愛の情を浮かべると、うめくような口調で、
「今日は、カインのお父さんの命日なんだ」
「!」
「だから今日だけは、お父さんと二人で語り合いたいんだって」
「そうであったか」
ヤンはそれきり、この件については触れなかった。
その後も、一切この話題を口にはしなかった。
作品名:晴れた日の過ごし方 2 作家名:あまみ