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楽しい羊一家 その2

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白羊宮の午前中編


ガーガーと、白羊宮の居間から掃除機をかける音がする。
白羊宮の守護者兼ハウスキーパーは、一家の大黒柱の教皇シオンが貴鬼を連れて出掛けたので、これ幸いとばかりに家の掃除をしていたのであった。
家人がいると、どうにも掃除がし辛い。
「ふぅ……」
一通り掃除機をかけ、額の汗を拭うと一息つく。
まったく、どこの専業主夫だと突っ込まれそうなムウの暮らしだが、ムウは白羊宮にて聖衣の修復を行っている。専業主夫というわけではない。
濡れた雑巾を準備すると、室内の水拭きに入る。
居間はなんだかんだと人の出入りが多いので、かなりホコリがたまる。
特にサイドボードの上やテレビ台の上がひどく、ムウは人には分からない程度にため息をつく。
「訓練場から戻ってきた者は、水浴びしないと部屋に上がれないようにしましょうか」
一時間ほどで掃除を終えたムウは、エプロンを着けたまま台所でお茶を入れると、朝シオンが買ってきた英字新聞に目を通す。
ギリシャ語の読み書きは苦手だが、英語のリーディングはそれなりに出来る。
アイオリア辺りが「男とは認めん!」とキレそうな今のムウの生活だが、ムウ自身は今の平和な日常が嫌いではない。
戦いに身を窶しているよりは、よっぽどいい。
毎日毎日敵と戦うことばかり考えているよりは、今日の夕食の献立を練っている方がずっと建設的だ。
「さて、しばらく修復も無いですからねぇ。たまには手間のかかるものを作りますか」
新聞を袋の中に片付けた白羊宮の守護者は、おもむろに立ち上がると冷蔵庫のドアを開ける。
野菜室から数種の野菜を取り出し、料理台の上へ。
今日は野菜たっぷりの美味しいビーフシチューを作ろう。今から仕込めば、夕飯時にはそれなりに美味しくなっている筈だ。
「フフフ……最近忙しくて、煮込み料理が出来なかったですからねぇ」
帰宅した師匠や弟子が驚きつつ喜ぶ顔を想像して、ムウは口元を緩ませた。
シオンも貴鬼も、ビーフシチューが大好きなのだ。
作品名:楽しい羊一家 その2 作家名:あまみ