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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 歳上 一話

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「ウソ言っている。本当は悔しかったでしょ?優斗さんとも付き合おうとしなかったし」

「ウソじゃないよ。優斗さんは好みじゃなかっただけ。それより優斗さんってどんな感じだったの?感じた?」

「そういう事は好きなのね、昔から。早く美那子も体験したら?あなたほどだったらすぐにカッコいい人見つけられるって思うよ。お兄さんが頭から離れないからダメなんじゃないの?」

静子に言われたことは一部当たっていた。優斗が静子の経験豊富な部分に驚かされたと想像すると少し笑えた。
それはきっと兄も美幸にいいようにあしらわれたと考えるに及んだ。
女はそういう意味では男性を虜にする魅力を備えないといけないと美那子は思った。

静子と電話が終わって一人であることを考えていた。
自分が初体験する相手として経験豊富な人を選んだ方が教えられることが多いと美那子は思うようになった。
そして自分が鍛えられれば外見にも増して女としての魅力が出来ると静子や美幸を見て感じたのだ。

兄の呪縛から解き放たれて、自由に恋愛を始めようと美那子は考えるようになった。
兄はすでに美幸と深い関係になっている。そして母親と微妙な距離を持っていることは将来禁断の関係に変化することも想像できた。

離婚をしたことのショックが消えようとする中で、三枝との関係が切れてより孤独感を美樹は感じ始めていた。
子供が小さければ子育てに没頭できたかもしれないがそうではなかったことが秀一郎への大人の感情を表す結果となっていた。

このままでは秀一郎の意思とは関係なく自分が抑えきれない何かをぶつけてしまうと危惧する。
朝立ちしていたものを触ろうとした自分は母親としての自覚を失っていた。
可愛い!という感情では決してなかったからだ。

土曜日と日曜日に学校で禁じられているコンビニでアルバイトをしている美那子は静子から話を聞いて優斗にちょっかいをかけた。

「優斗さん、静子から聞いたわよ」

「ええ~何を聞いたの?」

「いいことしたんだって?」

「そういう事か・・・言うかな、そんなこと普通他の人に」

「私が紹介したのよ、優斗さんと静子は。結果を聞く権利はあるわ」

「権利か、なんか恥ずかしいよ。どうせ良いこと言わなかったんだろう?」

「さあね、優斗さんがこれから挽回してゆけばいいんじゃないですか」

「挽回って・・・それってダメだししていることと同じだよ」

「そうね、頑張ってね」

美那子の笑いに優斗は笑いで答えられなかった。