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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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グレイ家の兄弟 Roger in a Rage

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 言うまでもなく、一連の事件はさまざまなマスコミで大きく取り上げられた。立て続けに起こる事件の異常さに、ソルシティ全体がパニックになった。G4は、陰惨な事件の数々に何もできないことを非常に歯がゆく思っていた。
「どうしてこうも弱者ばっかり殺られるんだよ!彼女たちが何をしたと言うんだ!」
 ロジャーが涙目で吠えた。ジョンは顔をこわばらせていたが、ようやく口を開いた。
「こうしてる間にも、また別の子が被害に遭ってるかもしれないと思うと、震えが止まらない…」
 長男と次男は弟たちの様子を見て、つぶやいた。
「あれだけのことをするのは、どう考えてもガルーだな」
「惨事を何とか食い止められないものか…」

 そこで彼らは、ドクター・フリックの研究所へ行き、この前代未聞の事態の対応策を協議することを決めた。研究所には、G4の幼なじみの一人で、非常勤職員のヒラリー・ヤンも居た。G4とドクター・フリック、アメリ、ヒラリーも交えての協議が始まった。女性スタッフによるおびき寄せ作戦から、通学路に隠れてガルーを捕まえるパターンまでいろいろな案を出したが、「これは」と思うものを誰も出せなかった。

 協議を続けていると、研究所のドアを激しくたたきながら、
「入れてください!助けてください!」
 と大声で言う少女の声が聞こえた。これには全員がドアのほうを向いたが、一番ドアに近い席に居たロジャーがドアを開けた。すると、赤いダウンジャケットを着た小学生ぐらいの少女が駆け込んできた。ロジャーはすぐにドアを閉めた。アメリとヒラリーは少女に駆け寄り、その子の顔を見て優しく声をかけた。
「ここならもう安全でス」
「向こうにソファーがあるから、そこに座ろうか」
 少女はうなずくと、ソファーのほうに向かい、ゆっくりと座った。ヒラリーがその横に座ると、少女に何があったのかを尋ねた。その子の話によると、5分ほど前にコンビニの前で、黒っぽい灰色の服を着た茶髪の若い男が自分の顔を見てニヤリと笑い、口笛を吹きながらじわじわと近付いてきたので、怖くなって走って逃げてきたのだという。彼女の話を聞きながら、ジョンとブライアンは丁寧にメモを取った。続いて少女は、先日殺された同級生のように、自分も殺されると思って怖かったことを、泣きながら話した。ヒラリーは少女の肩を抱き、アメリも少女に情け深い目を注いだ。男性陣に至っては、彼女にかける言葉が見つからなかった。特にロジャーは、涙する少女を見て、自分も泣きそうになって体を震わせた。
(か弱い女の子にこんなにも悲しい、怖い思いをさせるやつを、俺は絶対に許さない!!)
 そして彼は急に立ち上がると、ドアを開けて研究所の外に駆けていった。フレディとブライアンは同時に
「ロジャー!」
 と呼び止めたが、彼が引き返すことはなかった。その様子を見て、少女は研究所に居る大人たちの顔を不安そうに見た。ドクター・フリックは無理にほほ笑んで、
「ほえほえ〜、大丈夫だす。あのお兄さんはすぐに戻ってくるだす」
 と話した。ほかの面々も、一応ほほ笑みながらうなずいた。そのあと、アメリが少女の名前と電話番号を聞き、その子の家に電話をした。