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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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巡り合う街の不確定未来 探偵奇談16

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まっすぐに視線をぶつける瑞の目が、戸惑うように揺れている。こんな表情は初めて見る。郁はつられて戸惑ってしまう。彼は、何が言いたいのだろう。

「これでとめて」
「え?なに?」

かわいらしい紙袋を渡された。手のひらに乗るくらい小さい。戸惑いながら袋の中をあらためると、小さなピンが出てきた。綺麗な石がついている、とても華奢なデザインだった。

「…これあたしに?」
「うん。今日いろいろあって、もらったんだ」

そう言ってようやく、瑞は小さく笑った。消え入りそうな笑い方だった。

「今日、無理やり連れてきちゃったみたいで、悪かったな」

無理やりだなんて。心から感動したし、大好きだった歌が昨日よりもずっとずっと大切になって、もっと大好きな歌になった。感謝しかない。

「そんなことないよ。来られてよかった!ありがとう連れてきてくれて!」

郁は全力でお礼を伝える。

「このピンも、ありがとう…大事に、します…」
「うん」

そのままじっと瑞が動かない。視線に耐えかねたとき、ピンをつけろってことか、と郁は気づく。伸びた前髪をななめにわけて、ピンをさす。

「あ、いい感じ…かな?」
「うん」

瑞はようやく満足したように笑った。郁を見下ろす瑞の目が、今までみたどんな瞳よりもきれいで優しくて、吸い込まれそうだった。

バスが来る。

「あ、行かないと」

郁は立ち上がった。

「送るよ」
「ありがとう、でも平気。うちの前のバス停で降りられるから」
「わかった。気を付けて」