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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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金曜日のアウトドア はじまり編

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8月のある金曜日、モリッツ家の長男オスカー、次男カール、三男クリストファー、四男ヨハン、五男ヨシュア、六男トミーの兄弟は、「ヴォルフスヴァルト」と呼ばれる森へ遊びに行くことにしていた。オスカーの運転する車の中で、「Killer Queen」が流れている。オスカーと、助手席に座っているトミーがその曲をハミングしていた。一方、中央列に座っていたヨシュアが一番にぎやかで、クリストファーに妙に絡んでいた。彼もヨシュアほどではないにせよ、楽しそうだった。

 窓の外には、畑や土手といった、のどかな風景が続く。ヨハンとカールはそれを静かに見ていた。しばらくすると、何かのぬいぐるみを持って、悲しそうな顔をしている少女の石像が見えた。トミーが
「今の見た?」
 と言うと、ヨシュアが答えた。
「うん、見た見た。キモかったよね〜」
「そうかな?僕はああいう系の美術、割と好きだけどね」

 それからおよそ3分後、左の角を曲がる際に、さらに妙なオブジェが見えた。それは、石造りの苔むした十字架であった。それには、こう書かれた板が掛かっていた。
【この先、ヴォルフスヴァルト】
 クリストファーもそれを目にして、笑いながら言った。
「ははっ、ミステリードラマかよ」
 すると、カールがいたずらっぽく言った。
「何か起こるな」
「バ〜カおまえ1人で妄想してろ〜」
 クリストファーはそう言ったが、決して怒りからの発言ではない。車内は、実に明るかった。