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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 疑惑 三話

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たくさんの話をして、いよいよ美那子は聞きたいことを話そうと思った。

「お兄ちゃんがね、酔っぱらったお母さんに抱きつかれてキスされようとしたの。変でしょ?どうしてだかわかります?」

「ええ~美樹さんがそんなことをしたの?信じられないけど、秀一郎君が可愛かったんじゃないのかなあ~」

「三枝さんは娘さんにキスしようと思います?」

「思わないよ、親子だよ」

「だったら母もおかしいと思います。兄からは酔っていたので誰かと間違ったのではないかと聞かされましたが、それならなるほどと思いました。でないと説明がつきません。確かに兄は母親から好かれていますが、キスをする習慣があった訳ではありませんから」

「まあ、美那子ちゃんがそう感じるのは無理もないけど、理性としての支配から酔いのせいで抜け出ただけじゃないかな?」

「言われている意味がよく理解できないのですけど」

「うん、つまりね、怒らないで聞いてよ。お母さんも48とはいえ素敵な女性だから愛されたいと思っているという事だよ。お父さんは忙しい人だし、もし夫婦関係が無くなっていたとしたら寂しさがふと秀一郎君と解っていても噴き出したんじゃないのかな」

「寂しさですか?なるほど。三枝さんは大人ですね、私や兄では解らないこと聞かされます。兄は母が好きだと感じている人が三枝さんだと言いました。学校時代の事じゃなく今の事です。どうしてそうなのかはわかりませんが、たとえ不倫をしていても母を責める気にはなりません。父が悪いとも思いません。なので本当のことを教えて頂けませんか?」

美那子の質問は三枝の心を揺さぶった。

「お兄さんが言われたことは本当にそうなら嬉しいことだよ、解る美那子ちゃん?」

「母と不倫をしたいという意味ですか?」

「そうだよ。高校時代からずっと憧れていた人なんだよ。美人で優しくて。変な彼に騙されて悔しかったよ。知らないと思うけど、こんな話は」

「三枝さんは母から聞かされたのですか?」

「うん、いつだったか同窓会で再会して聞いたんだよ」

「私は母から聞いています。好きだった先輩に身体目的で近づかれたことをです。母は私が年上の男性と付き合うかどうかと迷っていた時に相談して、自分の過ちを犯して欲しくないと辛かった過去を話してくれたんです。そんな母の女としての幸せを応援しないわけがありません。母が三枝さんの事を好きなら離婚とかにならないなら黙っていようと思っています」

「美那子ちゃん、お母さんとは本当にいい関係だね。涙が出るよ」