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一生とは

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少年期に死の恐怖に打ちひしがれ、年月とゆかりの地の来訪により、死の準備を完遂するまでの物語である。

序~少年期~
 死は自我~色・受・想・行・識~が失われることを自覚したのは中学1年の夏だろうか。
彼は夢中になって勉強をしているうちに、ふと休憩した時、突然降ってきたかのように、死の恐怖に打ちひしがれた。死へ対抗する手段も備えもない。途方もなく、思い悩んでいる時、過去のゆかりの地を小旅行する気分になって実行した。当時、小学校・幼稚園は現在住んでいる場所とは離れていたが、電車で1時間揺られて着くほどさほど遠くはなかった。昔懐かしい場所が減った分、真新しい無情なコンクリートジャングルがそこにはそびえたっていった。ただ、懐かしかったのは小学校の校庭に植えてある幾本かの黄色く色づいたイチョウの樹と大きな川が流れる土手であった。そこは、時がとまったようにみえ、
まさに、死へ対抗するための「無」の境地の一端を見ることができた。

破~青年期~
 死への恐怖に一番恐れ戦いたのは高校から大学にかけての青年期であった。
死へ対抗するための手段として、様々な文献を読みあさり死への備えとした。無論、死への準備であったから学校の点数は低かったものの、すがる思いで読んでは落胆し、時には励まされ、時にはトランス状態になって「無」に近い状態になったこともあった。しかし、如何せん知識だけが先行して、身にならなかった。結局、振り出しだ。

急~壮年期~
 人生の転換期は40代で終結する。ある法話で、生死は表裏一体で土から生まれ、土へ戻るという輪廻の輪があり、それを軸に万物は相対的に動いていると聞き、体中電気が走った。これが求めていた答えの一つだと。
 30年後死への恐怖は忘却の彼方へ行き、終に人生の終着点「死」へ向かった。
こうして、長かった一つの「個」が悔いもなく無垢に散って行った。
作品名:一生とは 作家名:昇雪庭