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カレーライスの作り方

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11.なんと残酷な……



11.なんと残酷な……

「手を上げろ!」
「ちっ……とうとう見つかっちまったか……もっともこんな香りを漂わせてちゃ無理もないか……」
「おとなしくした方が身のためだぞ」
「身のため? どうせ皆殺しにするくせに……まあいい、どうせいずれは見つかっちまうんだからな、最後に好きな物くらい食って死にたいね……おい、これを食う時間ぐらいは貰えるんだろうな」
「お前次第だ」
「そうかい……ならば好きなようにさせてもらうぜ……しかし、この期に及んで食い物が見つかるなんて思ってもみなかった、カレールーまであるとはな……神様は最後の最後に俺に幸運を与えてくださったようだ」
「神? 貴様らに神を語る資格などない」
「まあ、そうだろうな、所変われば信じる神も変わるもんだ……俺は信心深い方じゃなかったがな」
「手に持っているものを捨てろ」
「おいおい、皿とスプーンだぜ、危ねぇもんじゃねぇよ……う~ん、いい香りだ、高級なもんじゃねぇが、俺の最期の食事には最高かも知れねぇな……」
「おい! 貴様、今何を食った?」
「ジャガイモだよ、カレーの黄色に染まっちまってるがな……ほら」
「な、なんということを……齧りかけのそんなものを我々に見せるな」
「ほれ、ニンジンも齧りかけだぜ」
「な、なんと残酷な……」
「タマネギはじっくり煮込んであらかた溶けちまってるがな」
「あまりといえばあまりの所業……」
「まあ、感じ方はそれぞれだからな……食い物にケチをつけられる筋合いはねぇよ……」
「おお、神よ、この罪深き男を救い給え」
「お前らの言う『救い』ってやつはあの世へ送ることだろう? ああ、いいぜ、ズドンとやってくれ、最期に好物だったものを食えて未練もなくなったよ」
「ズドン?」
「ああ、そうか、お前らのその光線銃ってもんは『ピー』って言うんだったな、それとも『チー』のほうが近いかな……まあ、どっちでも良いや……」
「ならば、神の御名の下、地球のために死ね」
「ああ、覚悟はできてるよ」

 光線銃が一閃し、男は床に倒れた。
「亡骸を土に埋めろ……我々にとって良い養分になるようにな」
「はっ」
 
 突如地球にやってきて人類を滅亡させようとする者達……彼らは宇宙の彼方からやって来た……。
 彼らの銀河を統べる宗教委員会は軍隊に地球から人類を排除することを命じた、地球と言う惑星を滅亡の危機から救うにはそれより他はないと結論付けたのだ。
 地球人の亡骸は土に埋められ、やがて土に還って彼らの養分となる。
 そう、彼らは植物型の生命体、彼らの『食事』は尻尾のように見える根を地中に突き刺して水と養分を吸い上げること、豊かな水と土壌に恵まれた地球は彼らにとっても桃源郷なのだ。
 彼らにとって農作物の収穫は大量虐殺に他ならず、それを食べるなどということは、彼らが信じる神の意思に背く残酷の極み、あまつさえ同じ生物をも殺して食う地球人は地球という美しい惑星を蝕む者にしか見えなかった。
 土に還った人類を養分とすることがそれとどう違うのかは別にして……。

作品名:カレーライスの作り方 作家名:ST