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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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風鳴り坂の怪 探偵奇談15

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この山を、町を、そして人々を守り、ときに道を正し、あるべき運命へと導く神の声。


黒 い 塊 。 人 間 の 負 の 思 い が 形 と な り て 、 地 表 か ら 這 い だ し 風 を 腐 ら せ る も の


声に合わせて山が鳴く。木々が揺れ、水面はさざめき、空が鳴る。これが出てくることは滅多にないから、これは何か深刻な事態なのだろうと颯馬は悟った。


そ れ ら は 生 き た 人 間 に 仇 な す も の


びりびりと身体中を走るその声の響き。それを最後に気配と声は消え、山は再び静寂を取り戻す。颯馬が振り返ったそこには何もない。雪の上にぽつんと一つ、寒椿の花が落ちている。

「…なんとかしろってことね」

花を手にし、颯馬は息をつく。聞く限り、穏やかでないことが起こっているようだ。
天狗直々に伝えに来たということは、前回の瑞(みず)の転生問題に匹敵する事態ということらしい。

黒い塊。生きた人間に仇なすもの。





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