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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第二十一話

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「そういう事ですか。どのぐらいの期間が最低必要だと予測していますか?」

「出来れば一年ですが、急がせて半年です」

「年内には実験を終わらせたいですね」

「次回のボディ次第です」

ストリーツカは社内の会議でAD-1を公表し、次回試作品AD-2の早期開発を最優先して行うよう要請した。

内藤はAD-2が完成したら、ストリーツカとの約束である日本政府と在日米軍が隠ぺいしてきた85年当時の墜落事故の真相を公開するための第一歩を踏み出せると思っていた。
アメリカ軍にしても、旧イスラエル国家にしても、自衛隊を管理している日本政府にしても本当に内藤が希望する公表を実行するための協力が整っているのか今の時点で甚だ疑問に感じられていた。

エイブラハムは渡米してストリーツカとの秘密会談を持つ決心をしていた。
一つはニューイスラエル政府から85年当初の枇々木浩介、すなわち梓の父親が神戸にあるイスラエル大使館へ何を訴えに向かおうとしていたのかという機密に関してと、内藤義男、アンドロイド研究をしている内藤肇の父親が墜落事故現場の近くで何をしていたのかという事実を公表するのかという問題を国王から委ねられていた。

国王は内藤と梓との会談でエイブラハムとは違う感情を抱いていた。それは、いざとなったら、内藤夫婦を自分たちの養子として名前を変えてでも日本へ連れてゆくという仰天の愛情だった。
支援を受けている隣国のアラビア国は日本との関係も深い。もちろんアメリカとの関係も親密だ。

その国から任命されてニューイスラエル国王となっている立場上、エイブラハムが抱いている祖国愛とは次元が違っていた。
内藤の研究に自国の未来が約束されるとしたら、最大限の功労者が求める気持ちに答えてやりたいと思うのが国を愛する国王として当然の義務だと考えていた。

エイブラハムはその気持ちを聞かされて迷っていた。
事件から50年も経過していまさら真実が語られても国家を揺るがすようなことにはならない。
しかし、アメリカと日本は立場が違う。
国連でも取り上げられて、それこそ中国やロシアから厳しい批判を受けることになりかねない。

アメリカに向かう飛行機の中でエイブラハムは悩みに悩んでいた。