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逆行物語 第六部~ユストクス~

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変化を司る水の季節



 ある時、アウブ夫婦が訪ねて来た。アウブ1人が来訪するのは度々あるが、フロレンツィア様も、と言うのは滅多に無い。何でも初回時にエーヴィリーベとその眷属神が現れた事で、頭の中に他者のメッサーが居座った(頭痛に見舞われた)らしい。
 アウブは何とも言えない顔になっているが、フェルディナンド様もローゼマイン様も首を捻っている。
 とにかくアウブ夫婦の来訪と言う事で、ローゼマイン様考案の菓子を食する。少し経って、ヴィルフリート様が曲を作った話をする。
「御披露目用か? 少し気が早いのでは無いか?」
 ヴィルフリート様の楽士であるイェニーにも顔を向ける。ヴィルフリート様とイェニーが曲を作っているからな。
「御披露目用はまだ作っていませんが、格好良い曲にしようかと思ってます。私が今、作っている曲は特定の人に向けた曲ですね。」
 特定の人? 
「まあ、どの様な曲なのです?」
「2曲あります。叔父上とローゼマインに向けてが1曲で『春の伝説』、ローゼマインに向けてが1曲で『ムーンライトベンノ』(ぶっ、と何故かローゼマイン様が吹き出された)、父上と叔父上に向けてが1曲で『ヒモとソープとその周囲』(ぶふっ、と更に吹き出された)。」
 ? 
「? 題名の意味が解らぬ、って3曲ではないか。」
「いえ、2曲です。曲が同じで歌詞を変えているのです。」
「兄様、演奏して下さいな、聞きたいです(涙目で笑いながら)。」
「ふむ、どれから行く?」
「さっき言った順番で良いですよ?」
 話している間に、イェニーが一旦席を外し、フェシュピールを取りに行っていた。素早い対応だ。 

 ……何だ、この曲調は!? 『春の伝説』は初めて聞く響きだ。最初は私だけでなく、皆が驚いていた。ローゼマイン様だけが、 目をキラキラさせていた。
 しかし歌が進むに連れて、無表情なフェルディナンド様の耳が赤く染まっていく。くくっ、成る程、2人に向けた恋歌か。

 …………。

 2曲目『ムーンライトベンノ』は1曲目と同じ曲調だったのだが、歌詞の意味が解らなかった。只、ローゼマイン様が有り得ないくらい、爆笑されていた。
「ちょ、兄様、それ、私の、せい、ですか!?」
 笑い過ぎて、笑い転げながら、怒ると言う世にも珍しいモノを見た。

 …………。

 3曲目『ヒモとソープとその周囲』は、悪く言えば邪道になる先程の曲調と違い、正統派な曲調で美しくも儚さを感じる曲だった。…曲だけならば。

 ヴィルフリート様、途中のアウブのモノマネが面白かったです。…そうですね、アウブは反省したのではなく、ご子息と奥様に知られたくなかっただけですね。私も賛成です。

 …フェルディナンド様、ヴィルフリート様に名を捧げるのは、悪くないかも知れませんね。