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逆行物語 真四部~下手の考え休むに似たり~

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ヴィルフリート~傀儡な父親~



 …ギュンターであれば、まずは妻子を守る事を優先した。夫として、父親として、守る対象を間違わない。執政に対しては未知だから、母親をどうするかは解らないが。
 それでも父上の様に、自分の派閥の最大の支持者たる母親と、跡継ぎと見込む息子を、その母親が嫌い捲っている異母弟と、異母弟が庇護する赤の他人、それも“人”にも数えられない平民と天秤に掛け、比重を軽くする等有り得ない。
 もしルッツが、カルラと自身の子を捨て、ラルフとシュミルを助けたら、ギュンターが許す訳が無い。
 立場が変われば、父上はギュンターにとって許しがたい選択をしている。大人に成りきれない、夫にも父親にもなるべきではない、結婚に向かない最低な男。一体父上の何処がギュンターに似ているのか。
 まあ…、そうでなければ本当に叔父上の居場所はなく、父上に執着する事もなく、エーレンフェストから出ていった公算が高い。
 …当然、マインがローゼマインになる事も無かっただろう。良くて虚弱をフォローされなくて、成人前に死亡、悪くて村ごとの処刑だろう。
 だが私も母上も、もっと楽に生きれた筈だ。父上が理解者であれば、お祖母様は、カルステッドやエルヴィーラの様な話の解るライゼガングと上手く遣っていたかも知れぬ。
 …まあタラレバばかり考えた処で意味は無い。現実、父上は云わば、離婚する両親に仲良くしよう、と訴える子供であり、妻子を守れない(弟優先で守ろうともしない)最低な男であり、当然だが、執政能力も無い傀儡アウブだ。
 表向きは継母子戦争が終わり、嫁姑戦争真っ最中。真実は継母子冷戦に、嫁が巻き込まれただけだ(叔父上を庇った事を考えれば、巻き込まれに行ったと言うのが正しいか)。

 …父上の操作権を廻った冷戦に。

 周囲からはお祖母様の傀儡と見なされていたが、叔父上を切り捨てる選択を出来ない背景を考えれば、叔父上がそれに甘えていた事実を考えれば、心理的には叔父上の傀儡だろう。そうして異世界の知識を武器に、お祖母様から父上を完璧に奪ったのだ。
 
 …一番悪いのは大人になる努力をしない父上だがな。

 それでも叔父上がアーレンスバッハに行った事は、大人になれるチャンスだった。
 フェルネスティーネ様が裏切りと叔父上を責めた気持ちに同意すると同時に、人等そんなもので特に責められる事ではないと、冷めた囁きが胸に響くと同時に、傀儡主が消えた今なら、本物のアウブになれるチャンスだったと主張する。
 実際、躓きはしたものの、遅蒔きながら叔父上を諦め、アウブ競争から私を切り捨て、マインを手放す事に同意した。第二夫人を含めて流されたと思われるかも知れないが、逆らうべきではない流れと、逆らうべき流れがある。