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逆行物語 真四部~下手の考え休むに似たり~

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麗乃=マイン~教えられた事実~



 兄様は続ける。漸く姿勢を正した私に。カーオサイファ様の神具である“知識”を身の内に留める意味を。
「グリトリスハイトも己のシュタープで神具をコピーするものでしかない。
 だが“知識”は神具のコピーではなく、神具そのもの。カーオサイファ様の神力を常に身の内にある状態だ。
 神の降臨の残照とは違い、神力は身に留まる。残照は外に出ていく為、神気を纏っている様に感じられるが、身に留まる神具は使わなければ、周囲には解るまい。
 だが確かに存在している。人には不相応な神力が。肉体に負担を掛け続ける魔力が。人のままでは扱えない、暴走させる事さえ出来ぬ神具が。」
 徐々に私のだと思っていた“知識”が、そうではない、それだけではないと知っていく。
「肉体が人のままでは都合が悪いのだ。故に造り変えられる。正式な儀式を経れば、半神となる肉体に、な。」
【半神!!?】
 声を上げると、兄様は重々しく頷いた。
「今の私は儀式を行ってはいないので、人よりの半神だ。1/4神(よんぶんのいちしん)と名付けても良いだろう。
 主神はカーオサイファ様、まあ、人が神に名捧げを行う様なモノだ。見届け神無しでな。」
 絶句する私に兄様は言う。
「見届け神無しでは完全な半神にはなれぬが、それでも人の身では手に入らぬ神側の知識が、カーオサイファ様がお許しになる分だけだが、手に入る。
 …肉体も不老になる。だから成長を誤魔化す術が必要になる。フェルネスティーネ様が得た知識の1つだ。彼女が得た知識や経験は全て私が引き継いでいる。
 だから、私は彼女が感じた事を理解出来る。同調出来るかは話が別だが。」
 何処か苦々しい顔になる。兄様はフェルネスティーネ様には同調出来ないのだろう。私にはホッとする事実だ。
「私にしろ、フェルネスティーネ様にしろ、幼い頃に“本須麗乃”の、“マイン”と“ローゼマイン”の経験を含んだ“知識”を得たのだ。しかも神々の知識と言うおまけ付きでな。
 …当然、何も変わらぬでは居られない。彼女も私も、“知識”を理解する為に大人になるしかない。
 だが…、その“知識”の中には、大人になった自分が居ないフェルネスティーネ様は、代わりに自らの記憶に刻まれた“知識”に存在するラオブルートとゲオルギーネ叔母上を参考にし、更に神々の“知識”から2人の視点だけでなく、ジェルヴァージオやレオンツィオをも引っ張り混んで、人格形成を果たしたのだ。」
【のおおおっ!!!!】
 寄りによって何故っ!!!!
「フェルネスティーネ様にとって、ラオブルートが身近で、ラオブルートが重要に思っていた女性が妻ではなく、戦略的に役立つゲオルギーネ叔母上だったからな。」
 もの凄く冷静な答えが上滑りする。確かにそうなんだろうけど……。
「1度目、2度目で別人と捉えて8人。内4人が邪魔者な敵であった其方を嫌い、残りは存在さえ知らぬから無関心。これでは好意を持つ筈がない。嫌悪から始まるのも無理なかろう。」