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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第十六話

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「梓さん、秘策はあります。今は言えませんが、そうなったときにお話ししましょう」

国王が言った秘策とは何なのだろうとその夜内藤と梓は考えていた。

二週間ほど経って再びストリーツカはやって来た。今度は本気だろう。
彼がいる企業はグローバル企業だがこと軍事産業の分野では中東地域は最大の顧客になっている。
なかでもアラビア国は世界最大のお得意様といえる存在だ。その後ろ側に居るとはいえ、ユダヤ人社会はアメリカにとって同胞の感が強い。

AI機能を搭載した戦闘機や対潜哨戒機、GPSを利用した巡航ミサイルなどは、ストリーツカの研究所で開発されている部品が心臓部になっている。
今度の内藤が開発したアンドロイド機能はAIをはるかに超えて、人間の感情を持ったロボットということになる。
家政婦のように働くのではない。人型ロボットの中心にアンドロイドとなったより精密なロボットが人間のように働く。

彼らは自分で判断して他のロボットたちに指令を出す。
たとえ敵に見つかって破壊されても、血も出ない兵士なのだ。何千何万と並ぶアンドロイド兵士は陸上戦においては威力を発揮する。
航空機に乗り込んで操縦も可能だ。
製造コストが軍の採用に大きく関わってくるので、いち早く内藤をアメリカへ連れ出して、臨床段階に進めたいとストリーツカは考えている。

内藤は最終と思われるストリーツカとの交渉でエイブラハムが立ち会わない条件を提示した。梓も同席しない。その理由を聞かれて二人の本音で話し合いたいと答えた。

「内藤さん、今回の提示が最終合意に至らなかった場合は私とエイブラハムさんとの利害関係は無くなります。そのことをご承知おきください」

「私はいかなる場合でも自分の信念に従って行動します。梓もそのことは十分理解してくれていることです。本来ビジネスのことと国家関係やストリーツカさん自身と私たち夫婦のプライベートな部分への干渉は切り離すべきです。しかし、今回は私たちの条件を考慮して戴くことが大前提となります。その判断でお話を伺いたいと思っています」

内藤の強い口ぶりにストリーツカはすべてを話さないと交渉は締結できないと覚悟をしていた。