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逆行物語 裏三部~フェルディナンド~

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エーヴィリーベの居ない冬



 ツェントの星結びは恙無く終わった。…終ってしまった。ジルヴェスターは望まぬ冬を迎える。
 その詳細は、呑まねばやってられぬ、と酒を酌み交わす許可を得たジルヴェスターとの再会の場で、酔いの勢いもあって語られた。

 ツェント、それは逆強姦だろう。

 貴族らしい言葉も返せぬ。感情はツェントを殺したいくらいなのに、貴族として、ツェントとして、その行為は正しいと考えてしま自分が嫌いだ。割り切れず、ツェントを抱けないジルヴェスターが悪いと考えてしまう自分が許せぬ。
 子供等、出来るなと呪った処で、それは叶わぬ。私とフロレンツィアとの間には、魔力差の為、子供が居ない事だけが救いだ。罪悪感さえ殺せば、ジルヴェスターの前に居れるのだから。

 ああ…、酒を呑んだ日は必ず、エーレンフェストでジルヴェスターの幻を見る。ローゼマイン、君が知れば、どう叱ってくれるのか…。もう、そんな事でさえ、私と関わるのは嫌だろうか。

 君の私を、親しげに呼ぶ声が聞きたい。思い出だけでは堪えられぬ。そう思っていたのに。

 ローゼマインが高みに昇った時。

 私は―――――――――………。

続く