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逆行物語 裏三部~フェルディナンド~

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日本とユルゲンシュミット



 200近い国…、本当なら驚く事だ。一体何処までが真実なのか、私は耳を慎重に傾ける。
「その世界の国は全て、政治や経済等で繋がり、良くも悪くも影響を及ぼしあっていたわ。
 日本はその中で先進国と呼ばれる、文明の進んだ国だった。民主主義と言う政治を、此方で言う平民達が行っていた。身分差は無いけれど、それでも此方の王侯貴族に位置する皇族と言う、日本の象徴として以外、何の権力も持たない一族が居る。
 そして皇族も平民も、一般人と向こうでは言うのだけど、出生時から国民として認められる。
 7才になれば、働くのではなく、学校と言って、学問を学ぶ機関に通うの。国が定める15才と言う年齢まで。
 それ以降は本人の希望で道を選ぶ。職業はとても多く、けれども専門知識や高等知識がいる場合が多い事もあってか、大抵は18才までは学校に通い、15才までで学ぶ知識より、深い知識を学ぶわね。
 人によってはそれ以降も学ぶ事を選ぶ場合もあるわ。例えば医師の職業を選ぶ人は、その為に受ける幾つかの試験を最短で合格したとしても、24才まで学校に通うし、医師になれても最初の2年間は見習いだわ。
 それから成人年齢は20歳。結婚可能年齢が女は16歳、男が18歳。でも実際には30に近い年齢で結婚する場合も多いわね。もし16歳と18歳で結婚となれば、赤ちゃんが出来たのが先かな、と思われるでしょう。因みに赤ちゃんが先って言う現象事態はそう珍しい訳でも無いわ。16歳と18歳で結婚処か婚約だって異常だけど。
 あ、後、一夫一妻制度。夫1人に妻1人。愛人なんて持ってバレたら、男も女も離婚対象、慰謝料だって請求されるわね。
 嫁姑問題も離婚案件になったりするわね。ユルゲンシュミット基準の夫は、日本基準では母親に依存する幼子扱いで、結婚する資格の無い最低男に分類するだろうから、離婚され易いと思うわ。」
 唖然。私は表情を取り繕えていただろうか。流石に自信は無い。
「直ぐに思い付く程度の障りだけでも、日本とユルゲンシュミットの違いはかなりあるわ。一応、確認するけど、ローゼマインから聞いてる? モトスウラノの居た日本に付いて。」
「いえ…。」
 否定する短い言葉を口にしながら、私は驚きから脱却出来ていなかった。
「そう。じゃあ今、考えて。日本の価値観と常識が、どれだけユルゲンシュミットで足枷になるか。」
 正直、想像を絶する。私は、私達大人は、ローゼマインに何を求めていたのだ? 
「ローゼマインに同情は禁物よ。」
 自省する私を止める様に、ツェントは続ける。
「モトスウラノは22歳の大人の女性。まあ、精神はユルゲンシュミットの方が成熟早いでしょうけど。
 そうね、モトスウラノはユルゲンシュミットの一般貴族の基準なら、12、3才くらいじゃないかしら? 因みに一般日本人女性なら、15才くらいじゃないかしらね。」
 私は又しても驚いた。優れた文明の国の基準が、ユルゲンシュミットより下のモノがある、しかもそれが精神の成熟度等…。
「ユルゲンシュミットは15才で成人して、自立する。平民は7才から働く事で、大人の世界へ仲間入りし、貴族は執政に関わる事を見越して、教育される。
 日本は20才で成人で、優れた教育を、恵まれた環境で受ければ受ける程、自立が遠退く状態だからね。
 進んだ文明の弊害、と言うのは流石に可笑しいけれど。」
 尚も彼女は続ける。