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逆行物語 裏四部~ヴェローニカ~

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カーオサイファの成体



 すうっと、フェルディナンドへの憎しみが消えて行く事が解ります。同時にアウブへの怒りが消えて行きます。
 怒りも憎しみも、アウブに対する愛情や信頼が産み出していた様です。自分で決定して、連れてきた我が子に対する行動ではありません。

 ああ、この人は本当に解らないのですね。領地の事も、人の事も。

 冷めた感情があの人に期待する方が馬鹿なのだと囁きます。私はフェルディナンドのマントを用意出来る様、そっと動きます。領主候補生のマントが用意出来ぬ領地等、流石に問題が有りすぎると言うモノでしょう。

 暫くは私にとって、平和な時間が過ぎます。…対ライゼガングには変化ありませんでしたが。あれに対する憎しみ自体は、アウブに関係ありませんからね。
 それが崩れたのは、ジルヴェスターの星結びでした。私は気付いてしまったのです。ジルヴェスターとフロレンツィアを見るフェルディナンドの視線に。
 あれは確かに懸想と嫉妬でした。フロレンツィアに懸想し、ジルヴェスターに嫉妬する、と言うのであればまだ良かったのです。手の打ち様だって様々にあったでしょう。
 しかし…、逆、でございました。

 フェルディナンドは、ジルヴェスターに懸想し、フロレンツィアに嫉妬していたのです。

 私は気が狂わんばかりになりました。脳裏に甦るのはゲオルギーネがジルヴェスターに行った醜悪な手段。私がどれだけ堕ちても、それだけはすまい、と決めていた事。フェルディナンドがジルヴェスターに無体を強いる姿が浮かびました。
 それからでございました。私の、フェルディナンドに対する行為が復活し、激しさを増したのは。
 もう必死でした。私は何としてでもフェルディナンドにエーレンフェストを出て行って欲しかったのです。叶わなければ、自分を道連れにしてでも殺さなければ、と思いました。
 そんな私の必死さにフロレンツィアは気付いていませんでした。本来なら妻である彼女が気付かなければならない事ですのに。
 正直、私はフロレンツィアには感謝しておりました。ジルヴェスターが果たして星を結ぶ気になるだろうか、と心配しておりましたから。
 心底息子を惚れさせた彼女の存在が、本当に嬉しかったものです。ですが…、フロレンツィアは気付かぬだけでなく、フェルディナンドを擁護する様な言動を見せました。ならば…、許す訳にはいきません。
 ジルヴェスターを守るのは、私にしか出来ないのです。

 え? ダンケルフェルガーに婿入り!!? 何て素晴らしいのでしょう!!!!
 …破談ですってぇー!!!!!! そんな………。
 ジルヴェスターの隣に居座る気ですか!!! させるモノですかっ!!! あの子の側近達も邪魔ばかりっ、一人暗殺成功! フェルディナンドを神殿に!!! まあ、物理的な距離が出来ましたし、まだマシかしら…。 

 口惜しいのは、フェルディナンドがジルヴェスターに懸想していると言えない事。ジルヴェスターの心の傷もありますし、何より流石に信用されないでしょう。
 城に来る頻度も高いですし、フロレンツィアは全く分かっていませんし。はあ…、ヴィルフリートへの教育放棄の策を使わなければならない程、敵対したくはありませんでしたのに。