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逆行物語 第三部~ラオブルート~

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神命と王命(2)



 身が引き締まる想いを、この場にいる全員が持っているに違いない。
「全領地、神殿の改革と復興に努めよ。アウブ、又は領主候補生が神殿長となり、神殿と貴族社会の制度、全貴族の意識を改善するのだ。遣り方は各々の領地に合った遣り方を認める。」
 言葉が変わる。神を後見とする王として、大領地如きに御せると思わさぬ様に。
「続いて、新たなる戦の種を、発芽する前に取り除く。アーレンスバッハの者共を捕らえよ!」
「はっ!!」
 意味が分からず、騒然とする周囲の中で、中央騎士団長として、その先陣として、私は走る。護衛騎士が慌てて構えるが、事前に祝福の重ね掛けを施され、万全を期した中央騎士団の戦力にはどうにもならぬ。捕らえ、場合によっては首を切り落とす。血渋きが舞う。
「ヴァッシェン!」
 汚れる前にフェルネスティーネ様の魔術で跡形もなく、消え去る。
 魔力封じの枷を両手足に着けると、拘束された者達と遺体となった者達を連れていく部下を見送り、私はフェルネスティーネ様の元へ戻る。
「アーレンスバッハはランツェナーヴェと通じている。新たなツェントをランツェナーヴェより迎え、その報奨に、アイゼンライヒとして近隣領土を奪う気であった。既にアーレンスバッハに陥落し、従う者もおった様だ。
 …その中で良くもまあ、大領地の内政侵略を、元下位の中領地がはね除け続けていたものよ、味方する領地も無い中で。大変であったろう?

 アウブ・エーレンフェストよ。」

 視線が一挙に集中していく。
「褒めて遣わす。」
「…とんでもございませぬ。此方は盾を構えただけに過ぎませぬ。時処折れ曲がり、却って身を傷付けると解っていて、ボロボロの鎧を身に付ける事も叶わず、その場で動かずにいるしか御座いませんでした。動かぬ身を守るには、剣よりも盾が扱い易くございましたから…。
 戦場を行き来するオルドシュネーリの祝福も加護もございませぬ身には、過ぎたる御言葉でございます。」
(意訳:裏切り者も多く、領地内で一致団結も出来ない為、先手を取られる一方で、仕掛けられた事のみに対応してきただけであり、アーレンスバッハの事情等、増してはランツェナーヴェの事は全く知りませんでした。
意訳の意訳:アーレンスバッハとは何の関係もありません。)
 確かにアウブ・エーレンフェストの立場では、フェルネスティーネ様の言葉を、“アーレンスバッハの味方しようとしていたのではないか”と、捕らえても無理はない。…何も知らぬからな。
「ツェントとしての言葉が重いのなら、妻としての言葉ならどうか。」
 …求婚されるとは知らぬからな。
「は?」
「これより私はアーレンスバッハへ赴き、反逆者を捕らえ、ランツェナーヴェの商人を追い返し、門を閉めなければならない。
 幸い、ランツェナーヴェ側の首謀者はユルゲンシュミットにはまだ入っておらず、今ならば戦にならない。」
 ゆったりと歩かれる、お姿の直ぐ側に侍る。
「その前に残りの王命を伝える。」
 フェルネスティーネ様は中央の分割、貴族院以外の領土を新たな領地とし、元・王族に譲渡、それに伴う様々な執政について、大領地の神殿改革を絡めて話をされる。そして。
「最後に我が配偶者に関する王命を出す。」
 既にアウブ・エーレンフェストの間近、その視線はひた、と唯1人に向けられている。
「我が配偶者を、ジルヴェスター・エーレンフェストとする。たった今より、現・配偶者との離縁を申し渡す。」
「な…っ!?」
 信じられぬ気持ちが全面に溢れている。無理も無いか。
「お待ち下さい! 一体何故!?」