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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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第12話 リコが自信喪失? 勝利を導くワクワクのリンクルストーン!


 みらいはラナのおかげでだいぶ元気を取り戻していたが、今度はリコの様子がおかしくなっていた。前の戦いがあった日から、リコは酷く落ち込んで下を向いて考えていることが多くなった。今度は元気になったみらいが心配する方になった。
「リコ、この頃元気ないみたいだけど悩みでもあるの?」
 ある時に寮の部屋でベッドの上に座りリコに寄りそってみらいが聞いてみた。少し前にみらいが落ち込んでいた時とは全く逆になっていた。すると想像もしないリコの答えが返ってきた。
「わたしは自信がなくなってしまったわ……」
「リコ、元気出すモフ〜」
 みらいのひざの上にいるモフルンがリコを励ます。一方、みらいはリコの衝撃告白で思考が乱されていた。いつも自信たっぷりなリコに自信がないなどと言われるとは思いもしなかったのだ。
「ど、どうしたの? 前の戦いで何かあったの?」
 リコがみらいに頷いて話し始めた。
「わたしはあの時に小百合の実験材料にされたのよ。最初はくやしくて夜も眠れないくらいだったけれど、それがだんだん怖いって気持ちに変わってきたの」
「怖い? 小百合が?」
「そうよ。小百合には人間味の欠けているところがあるわ。人を実験の材料にするなんて……」
 小百合の怖さはみらいも体験済みで、今でもそれに苦しめられているところがあるので無口になってしまった。小百合の優しさや聡明さを知っているだけに、時々現れるその人間味の無い部分が異様だった。
 みらいがリコを鼓舞する言葉を探そうと必死に考えていると、リコが先に口を開く。
「わたしはずっと完璧を目指してきたけれど、小百合と接しているとわたしが目指していた完璧って何だったんだろうって思う時があるの。わたしは完璧なんかじゃない、完璧になんてなれないって、小百合に思い知らされているようだわ」
「リコは完璧だよ! いつだって成績は一番だし! しっかりしているし! わたしが悲しんで落ち込んでいる時も、それを受け止めて励ましてくれた! わたしすごく心強かった!」
 みらいが力を込めて言うと、リコは曖昧な微笑を浮かべる。
「わたしは完璧なんかじゃない。それはみらいが一番わかってくれていると思ってる」
「確かに時々失敗はするけど、わたしからしたらリコは完璧だよ。それに、本当に完璧な人間なんて世界中に一人もいないと思う」
「みらいの言う通りだと思うわ。でも、小百合はわたしよりもずっと完璧に近い人だと思う。自分の不幸を利用してまで戦いに勝とうとするなんて、普通の人にはそんなことできないわ。それ以外にも早くからわたしたちとの戦いを想定して手の内を見せないようにしたり、こちらのリンクルストーンの研究をしたり、わたしの情報まで陰で集めていたし、みらいに対する見立ても完全に一致していた。前の戦いでは運よく勝てたけれど、内容では完全に負けていたわ。ラナの変な行動がなければ、また闇の結晶を奪われていたわよ」
「……リコは小百合に負けたのがくやしいんだね」
 確信を突く一言だった。下を向いてしゃべっていたリコが顔をあげてみらいを見つめる。しかし、そのマゼンダの輝きの中にくやしいという思いが感じられない。
「そうよ、とてもくやしかったわ。でも考えれば考える程、小百合に勝てないという気持ちが強くなってしまったの」
 あんなに負けず嫌いのリコが、他人にやられてただ落ち込んでいるのを見ているのが、みらいは辛かった。
「リコ、気晴らしに魔法商店街にでも行こうよ!」
 みらいは励ます言葉が見つからないので思い付きで言うと、今度はリコがはっきりと分るように微笑した。
「ありがとう、みらい。わたしなら大丈夫だから、闇の結晶を探しに行きましょう」
「じゃあ魔法商店街で闇の結晶探し! それならいいでしょ!」
 みらいの元気さで弾むような声に、リコは微笑のまま無言で頷いた。そんなリコがみらいはたまらなく心配になり、前に自分が元気じゃなかった時もリコは同じくらい心配してたんだろうなと思った。
 
 小百合は時々、半日ほど勉強に打ち込む事がある。普段の日は朝に一時間、寝る前に2時間必ず勉強するのだが、足りない分を半日の勉強で一気に補うのだ。魔法学校の勉強はエリーに分からないところを教わりながらやっている。さらにナシマホウ界の方の勉強も授業の進み具合を想定しながら進めていた。小百合の通う学校は進学校なので勉強の遅れは致命傷になる。おろそかにする訳にはいかなかった。
 小百合は半日の勉強をするときは魔法学校の制服を着ている。彼女いわく、その方が勉強に身が入るのだという。小百合の勉強が始まるとラナが暇になる。この時もラナは暇で胸に黄色い花の刺繍のある白いワンピースの姿でベッドで寝ながら魔法界生物図鑑を見ていた。間近の窓が開いていて、時折ほのかなリンゴの香りを乗せた春の風が入ってくる。小百合は勉強に集中しだすと周りの事が気にならなくなるので、ラナが何をしているかも見えていない。しかし、小百合の周りで変な気配があって、小百合がベッドの方を見るとラナの姿がなく図鑑だけがそこにあった。がさごそとテーブルの下の方で何かが動いている音がする。小百合が勉強する手を止めて黙っていると、対面の机の下からぬっと腕を組んであぐらをかくチクルンの姿が現れ、小百合は片方の眉を逆の弧にし、その下に腹ばいになっているリリンが現れ、今度は小百合が引きつった笑みになり、最後にリリンが腹ばいになっている頭が出てきて、机の下から半分だけ顔を出したラナに怖がるような目で見つめられ、小百合の気が抜けてため息が出た。
「何なのそれ、ブレーメンの音楽隊?」
「小百合、まだ怒ってる?」
「ラナを許してあげてほしいデビ」
 リリンがラナのために手と羽を動かしながら言うと、小百合がペンを置いた。
「もう怒ってないわよ。あんたにミラクルを任せたのは、わたしの判断だしね。実質はわたしのミスと言えるわ。だから、怒鳴ったりして悪かったと思ってるわよ」
 ラナの怖がる目にたちまち明るい光に満たされる。
「よかった〜」
 ラナはテーブルの前に立ち上がって本当に嬉しそうに言った。
「ところで、天辺にいる彼がなにか言いたそうなんだけれど」
「おう! いいたいことが山ほどあるぜ!」
「言ってみなさいよ、ニワトリ属性」
「おいらニワトリじゃねえ、チクルンだ!」
 チクルンがテーブルの上に飛び降りて小百合の目の前まで歩くと、両手の拳を脇腹に当てて偉そうにふんぞり返った。
「あなたはわたしたちを助けてくれたから、話は聞いてあげるわ」
「おい、お前!」
「小百合よ」
「んじゃあ、小百合! なんで仲間同士で戦ったりするんだよ!」
「仲間同士? みらいとリコのことを言っているの?」
「そうだよ、仲間だろ?」
 そういうチクルンが小百合の睨む視線に射抜かれて怯んだ。
「あの二人は敵よ」
「だ、だって、みんなプリキュアなんだろ!?」
 ラナは頭の上にリリンを乗っけたまま、チクルンに少し期待して会話の行方を見守っている。小百合がチクルンに答えた。