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七夕祭りにて



蒸し暑い通りの中で思い出す
遙か昔の子供の頃の七夕祭りのこと
母の声の記憶があるのに側にはいなかった
その理由を少しだけ思い出しかけたのに
少しだけ風が吹いたから
それらは風に運ばれてしまった

何十年かぶりに出かけた七夕祭り
狭い道の左右に陣取る屋台の数がもの凄く
もう目を輝かせる歳でも無く食べたい物も無く
七夕飾りを見て歩いているのだが
少しだけ風が吹いてきて
少しだけ若返ったような気がした

蒸し暑い通りを歩きながら思う
道幅も飾りの高さも記憶と違うのは
おれだけ身長が伸びたせいだけだろうか
隣にいるのが昔と違うことだけは確かで
少しだけ風が吹いてきても
そのひとが運ばれてしまわない事に安心する

作品名:イメージ2 作家名:伊達梁川