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ハルコ ~1/2の恋~

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「ピンポーン、やっと思い出してくれたのね」
「思い出した思い出した、そういや四人ってトコに引っかかってたんだよな、俺たちいつだって五人組だったからな」
「その割にはいつまでも思い出してくれなかったじゃない」
「だってさ、ハルヒコは確かに子供の頃から小柄だったし女の子っぽい顔してたけどさ、まさか女になってるなんて思わないじゃないか」
「まあ、何とか思い出せたんだから許してあげる」
「あのさ……」
「なぁに?」
「こんなこと言って良いかどうかわかんないけど、ハルコなら都会へ出ても充分やっていけると思うよ、俺、ハルヒコだって気付く前は完全に女だと思ってたし、すげぇ美人だなって思ってたもん」
「いいの、あたしはここで……ケイタさんと離れたくないもん」
「え? お前らそういう仲なの?」
 ケイタがちょっと困ったような、微妙な笑みを浮かべると、ハルコがすかさず助け舟を出した。
「ううん、あたしの片想いよ」
「ああ……そうなのか? なんか微妙な感じだな」
「『工事』は全部終わってるけど、子供を産める体にはなれっこないしね、ケイタさんは跡継ぎだし、ちゃんと子供を産める本物の女の人と結婚すればいいのよ、あたしとケイタさんは男と女を超えた仲なの」
「男と女を超えた……ねぇ、確かに男と男の関係でもあるからな」
「あたしの方はすっかり女の気持ちでいるんだけどね」
「ケイタはどうなんだ? やっぱりハルヒコとしか見れないのか?」
「ああ? ややこしい事を聞くんじゃないよ、まあ、なんて言うか、ハルコは綺麗だと思うぜ、飲みに来るのは居酒屋以外じゃここだけだからな、もっと大きな街まで行って飲みたいとも思わないんだ、そういう意味ではハルコ一筋かも知れねぇな、だけどやっぱりまるっきり全部女とも思えねぇよ、見た目は女でも中身はハルヒコだって知ってるんだからな」
「子供の頃、一緒になって遊んでいた女の子の幼馴染みたいなもんか」
「そういう女の子いなかったけどさ、たぶんそれとも違うよ、記憶の中のハルコは一緒に鳥居にションベン引っ掛けてたハルヒコだからな」
「やっぱそうなるか」
「だけどよ、見た目が女で中身は男ってのも悪くないぜ、なんつーか、心安い感じでさ、気心知れた幼馴染でもあるしな」
「ふぅん、まあ、確かにそれは言えるかも知れないな……俺もさ、最初はすげェ美人だと思ってドギマギしてたけど、ハルヒコってわかった途端肩から力抜けたもんな」
「そうだろ? そういう意味ではハルコが一番ってことだよな」
「ハルコはさ、女になってすぐにここでスナック始めたわけ?」
「ううん、最初はオカマバーね、県内だけど大きな街に出たわよ」
「オカマバーって行ったことあるけど、ハルコみたいな美人はいなかったぜ、どっちかって言うとマニアックと言うか、キワモノって言うか」
「うん、女性ホルモン打ったり豊胸手術受けたりして見た目が女性化してくると、あたしもなんとなく場違いな感じして来てね、その頃はまだ最後の工事は終わってなかったけど、それを隠してショーパブに勤めたわ」
「まあ、わかんないだろうなぁ、ハルコを見てまさか男だなんて思わないよ」
「うん、バレないで勤めてたわ、最後の工事代金を稼ぐためにね……結局バレてクビになっちゃったけどね……」

(@^ ё ^@)   (@^ ё ^@)  (@^ ё ^@)  (@^ ё ^@)

 オカマバーを辞めたハルコが次に勤めたのは県内でも随一の規模を誇るショーパブだった。
 規模が大きければ良いと言うものでもないが、そこは県内でも二~三番手の街のこと、それほど賑やかな歓楽街があるわけでもない、若くて可愛い女の子をばっちり揃えられるのはある程度の規模を持った店だけだ、しかも水着でのダンスショーまで楽しめるのはここしかない。
 ハルコは男である事を隠したまま面接を受けたのだが、お辞儀で伏せていた顔を上げた途端に採用が決まった。

 ハルコは元々男性ホルモンの分泌が少ない体質、その上女性ホルモンも使っているので男性のシンボルは神社の鳥居に小便を引っ掛けた時とほとんど変わらない、タマごと腹に押し込んでしまってテーピングでしっかり蓋をしてしまえば、ミニスカートからパンティが覗いてしまってもわからないし、まして『コンニチワ』してしまう怖れもほとんどない。
 バストは当然整形だが、細身のハルコは無闇に大きく整形してはいないので不自然さはなく、作り物と悟られることもなかった。
 そして、生まれながらの女性と違っているところは、実はもう一つある。
 ハルコはハルヒコであった頃から女性に憧れ、女性になりたいと願って来た、それゆえ女性のどういう言動が魅力的なのかをずっと観察し、記憶に留め、実践する術を考え続けて来たということ。
 例えるなら、天然のままのフォームで走るランナーとしっかりコーチングされたフォームで走るランナーのようなもの、どちらがより速いかは言うまでもない。
 その美貌もさることながら、ハルコは男にとって理想の女性像そのものを演じることが出来たのだ、それも演じていると言う意識がないほどに自然に。
 そんなハルコがナンバーワンになるのは時間の問題だった。
 男たちはこぞってハルコを指名したがり、たとえボックスで隣り合わせる時間がごく限られているにせよ、ハルコに見惚れ、言葉を交わした。

 だが、ナンバーワンの座が揺るぎないものになって来ると、嫉妬の槍玉に挙げられるようにもなる。
 ハルコがダンスショーに出ようとしないのを指して『お高くとまっている』と言うわけだ。
 だが、それにはハルコの側の事情もある。
  高校までを男子として過ごして来たハルコはダンスをしたことがなく、上手く踊れるはずもなかったのだ、加えて股間は偽装している、あまりギリギリまで露出したくはない。
 しかし、ハルコにショーへの出演を強いるのは同僚の嫉妬ばかりではない。 店からも強く要請されていたのだ。
 なにしろ、押しも押されぬナンバーワン、少し遅い時間に入店した客に対してはハルコへの指名を断らなければならないことも少なくない、ショーに出演してくれるならばそういった客がガッカリして帰ってしまうということも減るだろう、いや、それ以前に、水着姿で踊るハルコ見たさに更に客が押し寄せる様になろうというものだ。

 そう言ったプレッシャーに抗いきれなくなったハルコはとうとうダンスを習い始めた。
 店でベテランホステスをコーチ役にしたレッスンを受けられないこともなかったが、ハルコはちゃんとした先生についてダンスを習い始めた。
 どうせやらなければならないのならきちんと、と考えたのだ、そしてその結果、ハルコはダンスの楽しさに目覚めた。
 元々男を惹きつける女らしい仕草、動きは研究の末に身につけている、ダンスの激しい動きの中でもそれは遺憾なく発揮され、先生も褒めてくれる。
 そしてスタジオの壁一面に貼られた鏡、そこに自分が踊る姿を映して見るのはハルコにとっても楽しみだったのだ。
 
 数ヵ月後、ハルコはショーデビューした。
作品名:ハルコ ~1/2の恋~ 作家名:ST